東京都墨田区の九重部屋には続々と弔問客が訪れた。現役時代に数多く対戦した二所ノ関親方(元大関若嶋津)は「巡業では稽古もつけてもらった。力が強く、胸は鉄板みたいに硬かった。偉大な人が亡くなった。寂しい」と肩を落とした。

 同時代に活躍した尾車親方(元大関琴風)は「びっくりした。これからだったのに。(遺体を前に)ゆっくり休んでくれと言った」と悼んだ。

 夏巡業で福井市に滞在中の横綱日馬富士関は同じく軽量だった九重親方からの助言を思い出し「親方の相撲を見て、勇気をいただいていましたので心が痛い」と沈痛な面持ちだった。

 自転車の世界選手権スプリントで10連覇を誇り、親交があった中野浩一氏は「現役時代は口数が少なかったが、引退してからは明るくにぎやかだった。体力もあるし大丈夫だろうと思っていた」と悲しんだ。一般のファンらも部屋の前で記帳し、名横綱に別れを告げた。

 世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級王者の山中慎介(帝拳)は「フカヒレを一緒に食べたのが最後だった。周りと自分に厳しい方でアスリートとして学ぶことが多かった」と尊敬を口にした。