日本相撲協会は10日、春場所(12日初日、エディオンアリーナ大阪)の取組編成会議を開き、新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)は初日に平幕豪風、2日目は小結正代と取組が組まれた。1場所15日制となった49年夏場所以降の新横綱31人中、初日からの連勝は18人だけ。稀勢の里にとっても過去11度の春場所で連勝発進は3度しかないが、過去とは違う姿で大きな壁を打ち破る。

 対戦相手が決まっても、稀勢の里の表情に変化はなかった。「だいたい、あの辺(の番付)は当たると想定していますから。1日一番、集中してやるだけ」。高ぶりはなく「いつも通り」と平常心を強調した。

 横綱土俵入りなどに慣れない序盤は、新横綱としての重圧が大きい。さらに、19年ぶりの日本出身横綱として大きな注目を浴びる。1場所15日制となった49年夏場所以降の新横綱31人のうち、初日から連勝したのは18人だけ。横綱としては極めて少ない。優勝も大鵬、隆の里、貴乃花の3人しかおらず、壁は高い。さらに、春は稀勢の里にとっても鬼門だった。過去11度の幕内で初日は5勝6敗。連勝発進は3度しかなく、14年にはかど番も味わった。

 だが、それも過去の話。昨年は優勝こそ逃すも、初日から10連勝して13勝を挙げた。ここから生まれ変わり、年間最多勝を獲得して横綱昇進につなげた。高い壁こそ、刺激材料になる。

 前日は休養に充て、この日は四股や立ち合いの確認などで調整した。「今日、明日とこんな感じでやれば切れ味も戻ってくる。非常にいい稽古ができて形も決まってきた」。過去の対戦は豪風と20勝5敗、正代は4勝1敗。合口の良い相手で波に乗る。【今村健人】