今年12月に卒業予定の、AKB48グループ総監督高橋みなみ(24)が、最後の総選挙で13万7252票を獲得し、自己最高の4位に輝いた。ステージには、盟友前田敦子(23)が駆けつけ花束を贈呈。グループ最大の功労者に、万雷の拍手が送られた。

 スピーチを終えたたかみなの前に、前田が現れた。少しだけ乾いていた頬を再び涙が伝った。「何でいんの~」。ひざから崩れ落ちるたかみなの腕を、目に涙をためた前田が優しくさすった。「たかみなは最後までみんなのことを思って…。周りを引っ張り続けてくれた。本当は1位を取ってほしかったけど、今はお疲れさまと言いたいです」。2人で言葉を交わし抱き合った。「ありがとう~」の声が全国から鳴り響いた。

 最後まで、体を張り続けた。受け付け初日に立候補し、1位宣言もした。格付けされるメンバーには、過酷さもはらむ総選挙。立候補制3度目にして、立候補を辞退する若手メンバーも増えた。目を背けずに立ち向かうことを示したかった。「AKB48=総選挙のイベントに、これからの子が出ないで得することはない。人気メンバーを見ようとした人が、違う子を見つけてファンになることもある。順位が全てではないですが、メンバーにとっては今後の1年に関わってきてしまうことなんです」。

 総選挙で発してきた言葉を含めて、後輩に向けてさらに言葉を残した。「人生は矛盾と闘うもの。今を頑張らないと、未来はない。頑張らないと始まらない。『努力は必ず報われる』と言ってきた。すべての努力は報われないかもしれない。でも誰かが見ている。それだけは私がAKB48としてやってきて言い切れる。だから諦めないでね」。

 最大の功労者への感謝の気持ちは、メンバーだけでなく、他メンバーのファンまでも動かした。昨年から約8万票を増やし、獲得票数も自己最高だった。秋元康総合プロデューサーはかつて「AKB48とは高橋みなみのことである」と言った。その言葉を、見事に証明してみせた最後の総選挙だった。【大友陽平】