NGT48荻野由佳(18)が、5月31日に行われた第9回AKB48選抜総選挙(17日開票、沖縄・美らSUNビーチ)速報発表で、1位に入った。

 まだ投票開始直後とはいえ、5万5061票を集めて前年女王の指原莉乃(24)らを押さえたシンデレラガールは、何度もオーディションを受けては、粘ってはい上がってきた、グループきっての苦労人だ。

 幼い頃から、芸能界入りに乗り気な少女ではなかった。勧める母親に初めてオーディションに連れられたのは、小2の時。「とにかく普通がよくて、嫌々でした」。そんな荻野が、本気になったのが、AKB48の存在だった。徐々に芸能界へも興味を持ち始め、ダンスも習っている中、友人が踊っていた「ヘビーローテーション」にとりこになり、「AKB48になりたい!」と決意した。

 初挑戦は、11年のAKB48の13期生オーディション。書類選考で落ち、12年の14期生オーディションで最終審査まで残るも落選。諦めきれない荻野は、13年の15期生オーディションに、向井地美音らとともに仮合格し、レッスンを重ねていたが、ついにはメンバーにはなれず。14年には、各都道府県から代表するメンバーを選出するチーム8の埼玉オーディションも受けたが、落選していた。

 転機はその後だった。何度もAKB48のオーディションに挑戦する荻野に、あるAKB関連スタッフが「1度、他のオーディションを受けてみては」とアドバイスしたという。十数回、別の芸能関係のオーディションを受けた。その過程で「いろいろ研究する中で、やっぱり個性を大事にしなくちゃいけないんだなって気が付いたんです。それまではかわいい子ぶっていたんですけど、“自分”で臨めるようになったんです」。

 14年9月の「バイトAKB」オーディションに合格し、同年末には、NHK紅白歌合戦のリハーサルで、体調不良の先輩メンバーに変わってNHKホールのステージをほんの少しだけ経験もした。15年5月に開催の「第2回AKB48グループドラフト会議」で、当時発足が発表されたばかりだった、NGT48に2巡目指名されて加入した。

 念願の48グループのアイドルになり、加入当初は「今まで落ちてきたのも、NGT48に入るためだったのかなと本当に思います」と言っては、よく泣いていた。キャッチフレーズは、自らの人生を体現するような「何があってもへこたれない!」。総選挙をはじめ、楽曲の序列など、競争を求められるグループにおいて、不屈の精神を常に持ち、汗をいっぱいかきながら歌い踊り、握手会も装飾にまでこだわって全力でファンサービス。48グループのアイドルになれた喜びが常ににじみ出ており、その姿にファンもどんどんひかれていったのだと思う。

 それでも、素顔は18歳。今年4月、デビューシングル「青春時計」のプロモーションで日刊スポーツに来社した際、休憩時間にコンビニのアイスをほおばりながら「おいしい~、幸せ~」と屈託なく言う姿に、周りもついつい笑顔にさせてしまう、ほんわかした一面も持っている。

【前NGT48担当・大友陽平】