あっちゃんが、故郷に錦を飾った。AKB48の前田敦子(20)が11日、千葉・市川文化会館で行われた全国ツアーのステージに立った。千葉県市川市出身の国民的アイドルは、地元ファンから「お帰り~」の大声援で迎えられると「お帰りなんて、初めて言われた~」と喜んだ。8月27日でグループからの卒業が決定している。AKB48としての活動も残り3カ月を切ったところで、最高の思い出を作った。

 前田は、本編最後の曲を思いをかみしめるように紹介した。

 「ここ、千葉県市川市は、私が生まれ育ったところです。だから、ここでこうやって歌えることが、うれしいです。私の一番好きな曲を聴いてください」。「夕陽を見ているか?」を、親友の高橋みなみ(21)と仲川遥香(20)の両肩を抱きながら、幸せそうに歌った。

 前田にとって思い出深い会場だった。「ここは私、小さいころに立ったことあるんですよ。幼稚園のときにお遊戯会で使ったことがあるんです」と明かした。メンバーから「何で幼稚園児が舞台に上がれるの?」と尋ねられると、「ここは市民の方が使うんですよ。私はインディアンの格好して、黄色のシャカシャカを持って踊りました。十何年越しに、ここに立ちました」。ホールを見渡しながら幼き日の思い出を懐かしそうに語った。

 この日のステージでは、初期の代表曲「PARTYが始まるよ」から、前田がAKB48選抜総選挙1位でセンターを獲得した「言い訳Maybe」「フライングゲット」まで全25曲を歌った。前田のAKB48人生を表すようなセットリストだった。

 AKB48に入って、6年半。幕張メッセで、握手会やイベントは数多くやってきたが、不思議とライブだけは1度もなかった。夢を次々とかなえてきた前田にとって、残されていたのは、地元と東京ドームのコンサートだけだった。これで残すは、あと1つ。8月24~26日の東京ドーム公演に出演した翌27日に、秋葉原のAKB48劇場で卒業式を迎える。【瀬津真也】