AKB48柏木由紀(21)が17日、故郷の鹿児島を訪れ、県の魅力をPRする「薩摩大使」に就任した。小学生時代、モーニング娘。のライブを間近で見た鹿児島市民文化ホールも訪問。アイドルを志すきっかけとなった思い出の場所で、自分を見つめ直した。トップアイドルとなった柏木の帰郷に、地元も大フィーバーとなった。

 就任式の前に、どうしても訪れたい場所があった。移動用の車を降りた柏木はグレーの建物に向かって歩き始めた。視線の先にあったのは、鹿児島市民文化ホールだ。通用口から中に入ると真っ先に、1990人を収容するホールの天井を見上げた。すぐに視線を前に向けて、誰もいないホール内を見渡した。「機材も何も置いていないステージって本当に大きいですよね」。そう言った後で、幼い子供のように駆けだして、ステージから前方2列目の席に座った。「小6だったんで、しっかり覚えてます。この席です。こんなに近くだったんですね」。再び天井を見上げた後、目を閉じた。

 小学2年の時に、鹿児島アリーナで初めてモー娘のライブを見た。1年後、同ホールの前方20列目で再びライブを体験。そして小6の時、その距離は目と鼻の先まで縮まった。「完全に魅了されて『もう、これしかない!』と思ったんです」。アイドルになろうと決意したのは、この場所だった。迷わず受けたモー娘のオーディションは落選したが、AKB48の3期生オーディションに合格。「アイドル柏木由紀」が産声を上げた。

 選抜総選挙では2年連続で3位。今回の帰郷を凱旋(がいせん)と考えることもできた。「まだ凱旋なんて言えない。去年も後輩のチーム4の鹿児島公演にゲスト出演しましたが、皆さんに『ただいま』って言えませんでした。今度ソロか自分のチームで来た時に、初めて自信を持って『ただいま』って言えるかも」。

 自分の原点に触れ、自らの歩みをかみしめた。まだまだ自分は、目指すアイドルに向かって歩いている途中という自覚が強まった。大歓迎を受けた今回の里帰りに刺激を受けながら、まだまだゆきりんは大きくなっていく。【横山慧】