北野武監督新作「客入らないと意味ない」
最新作はヒットを狙う。北野武(61)の監督・主演映画「アキレスと亀」(今秋公開予定)の製作発表が9日、東京・調布の日活撮影所で行われ「無謀な映画を撮り続けたんで、今回はお客さんが入る作品を作ります」と明かした。売れない画家の苦悩と夫婦愛を描く物語の概要を正式発表。同時に、国際的な評価が国内の興行成績に結び付かない現状を打破しようとする決意を示した。
北野監督は「無謀な映画を2作も続けたんで、さすがにプロデューサーが怒っちゃってね」と冗談交じりに製作理由を明かした。ともにベネチア映画祭で上映されながら日本の興行成績に反映されなかった、05年の「TAKESHIS’」と07年の「監督・ばんざい!」を引き合いに出し「遊んでばかりもいられないから、多くのお客さんに見てもらえる作品をまじめに作ります」と宣言した。
97年の「HANA-BI」がベネチア映画祭のコンペ部門で金獅子賞を獲得。「世界のキタノ」の地位は不動だが、国内で共感を得られないことも多かった。「海外ではマエストロ(巨匠)って呼ばれてんのに、日本じゃ、あいつ呼ばわりだよ。賞はなくてもいいけど、客が入らないと意味がない」と本音をこぼした。
そこで、興収を含めたヒットを狙い最新作「アキレスと亀」を企画した。少年時代に受けた無責任な褒め言葉を真に受けて画家を志した真知寿(マチス)が、才能に恵まれないのに夢を捨てきれない物語。北野監督が自ら描いた数十点に及ぶ絵画を劇中に登場させる力の入れようで、芸術至上主義に苦悩する男を残酷に描く一方、真知寿を支える妻(樋口可南子)との夫婦愛もふんだんに盛り込み「HANA-BI」のような涙を誘うつもりだ。
この作品が「3部作の締めくくり」と北野監督は言う。「タレントの葛藤(かっとう)を描いた『TAKESHIS’』、監督業に対する自己批判を込めた『監督・ばんざい!』に続く新作は、お金を出してくれた人に迷惑を掛ける私のような映画監督でも、才能のない人でも芸術をやるべきという結論を出すつもり」と決意も口にしている。
この日は撮影現場も初めて公開し、海外展開の可能性についても聞かれた。しかし「分かんない。まず日本のお客さんが見てくれないと」。一貫してヒットへの思いを強調していた。
[2008年4月10日8時48分 紙面から]
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