お笑い芸人の板尾創路(45)が、長編映画を初監督したことが25日、分かった。脱獄を繰り返す男を描いた作品「板尾創路の脱獄王」で、3月19日から始まる沖縄国際映画祭で特別上映される。

 板尾は昨年、吉本興業の芸人100組が監督する短編映画プロジェクトの一環でメガホンを取ったが、長編は初めて。今回は国村隼とともにダブル主演を務め、脚本も書いた。役者として「空中庭園」「東京タワー

 オカンとボクと、時々、オトン」など多くの作品に出演し、演技力には定評がある。最近は芸人や俳優の監督デビューが続いており期待された1人だった。

 しかし、話が持ち上がった昨夏を振り返り、板尾は「強い希望はなかった。断ろうと思った」と話す。後押ししたのは、主演もできる点だった。「短編撮った時、やっぱり出たかった。30分(の作品)でもそう思ったから、長編やったら我慢できない。『主演してもいいですか』と聞きました。体力的には大変でしたが、すべてをやれることは幸せなこと」。親交があり監督としても先輩の松本人志には、相談はせず決断したという。

 子供のころ「大脱走」「パピヨン」など脱獄ものが好きだったこともあり、昭和初期を舞台に、独創的なアイデアで何度も脱獄を繰り返す男を描いた。板尾は主人公・鈴木雅之を演じ、鈴木に興味を持つ司法省の役人を国村が演じる。

 すでに撮影は終わり、沖縄国際映画祭での上映を前に仕上げ段階に入った。「このままいけば完ぺき。いろんな感想を聞きたい」と、自信を見せる。今後の監督業は未定だが、「原爆の映画を作りたい。被害に遭った方がまだいらっしゃいますから、今、ハリウッドの技術を使って、あの時どんなことが起こったのかを見せることは必要」と、意欲的だ。

 ほか石坂浩二、津田寛治らベテラン勢、ぼんちおさむ、オール巨人、木村祐一ら吉本の芸人も出演している。