32年前の旧作にはダン・エイクロイドら人気コメディアンが顔をそろえた。米国では彼らの登場だけで笑いが起きたのだろうから、演者には余裕があった。あちらの笑いの機微がその間合いから伝わってきた。いつの間にかエイクロイドのとぼけた顔に引き込まれ、ドリフターズの大仕掛けを極大化したようなゴーストの登場に笑わされた。

 今作ではキャストが女性に入れ替わった。クリステン・ウィグら4人はいずれも一線級のコメディエンヌだ。日本ではなじみがないが、旧作の経験則で最初から笑える。思い込みの強い研究者にふんしたメリッサ・マッカーシーが特におかしい。メガネの奥の確信に満ちた目、柳原可奈子の成り切りキャラに輪をかけている、と言ったらいいか。

 男は添え物だ。二枚目クリス・ヘムズワースは助手として登場。見栄えはいいが、徹底的に仕事が出来ない。究極の間抜けを繰り返す。女性が添え物扱いされてきたハリウッド男社会への痛烈な皮肉だ。ビジュアル面の進化はめざましい。ゴースト退治のガジェット(装置)は精緻さを増し、パワーアップしたゴーストとのバトルはCG世代もうならせるはずだ。【相原斎】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)