プレシーズン特番からの「相棒」ファンとして、今回は心配やった。ドラマは最近、筋の粗さが目立つねんなあ。不安なんは私だけやないと思うけど…結論は「まだまだいける」です。

 7年前、英国の日本領事館で集団毒殺事件が発生、1人生き残った少女が犯罪組織に連れ去られた。その犯罪組織が少女の動画を公開し、身代金9億円を要求。一方、東京で大規模テロ計画が動き始めた-。

 政府が邦人を見捨てたと主張する設定は、自己責任にフォーカスした「劇場版1」ぽい。誰が、なぜ、罪を犯したか? 相棒永遠のテーマ=正義(今回は「愛」らしいが)を、見る側にしっかり問うてる。

 水谷豊の右京さん、反町隆史の冠城に加え、元相棒の神戸尊(及川光博)が違和感なく絡む。犯罪組織のキーマンを演じた北村一輝、国連機関元理事役の鹿賀丈史も文句なし。鹿賀は終盤の右京さんとの掛け合いが、ほれぼれするほど秀逸やった。

 演出や細部に「ん?」てとこもある。監督が「相棒 X-DAY」の橋本一氏で“本筋”の劇場版初メガホンっちゅう力みもあるでしょ。それでも、ガツンと来た。本来の相棒です。【加藤裕一】

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