◆「相棒-劇場版3-巨大密室!特命係絶海の孤島へ」(日)

 「相棒」は、国民的コンテンツになった。テレビ朝日系ドラマは00年から12シーズン放送され、劇場版も5本目。今作は水谷豊演じる杉下右京と成宮寛貴演じる甲斐亨が組む3代目相棒が、実業家が所有する島で元自衛官が組む民兵集団内で発生した事件に挑む。孤島での事件は「相棒」初だ。

 警視庁、警察庁、自衛隊、民兵が、それぞれの立場、正義から主張し合う「国防とは何か」がメーンテーマ。集団的自衛権の行使と改憲の議論が過熱する今の日本をリアルタイムに描くのは、社会派ドラマとしての「相棒」の一面が出ている。半面、「season11」最終回で米CIAと警察庁の取引を描いたように1シリーズごと2、3回の2時間スペシャルドラマでも、世界を舞台に描く「相棒」の劇場版としては、世界観に物足りなさを感じた。

 一方で1時間54分でテンポ良く物語が進み、主要キャラの人間関係も最低限分かるように描かれ、未経験者は入りやすいだろう。受け手が「相棒」と関わる度合いで評価は変わると感じる。

(このコラムの更新は毎週日曜日です)