◆ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(米)

 しゃべる宇宙アライグマの動物然とした動き、宇宙船内は経年劣化の金属臭が漂うようだ。バロウズの火星シリーズに親しんだ子どもの頃から、想像を膨らませ続けてきた宇宙が文字通りの実写としてここにある。特殊効果もここまで来たか、と思う。かぶり物だ、作り物だと想像力を加味する余地はほとんどない。

 主人公の宝物ハンター(クリス・プラット)を始め、宇宙を救うチーム5人(匹)ははぐれ者ばかりだ。ヒーローにダークな側面や人間くささを加味してきたアメコミ界でも、ギリギリまでワルをにじませた濃い味付けである。

 声の出演に「ワイルド・スピード」のヴィン・ディーゼル、「アメリカン・ハッスル」のブラッドリー・クーパー。脇にグレン・クローズ、ジョン・C・ライリーと個性派名優をそろえ、周りも濃い。

 惑星ごとの色付けは明快で、絶命の危機の直後に軽妙トークを織り交ぜた緩急の展開は飽きさせない。主人公の愛用品は初期型ウォークマンと70年代ベストソングの手製カセットテープ。リアルなレトロツールが中高年世代もくすぐる。ジェームズ・ガン監督はサービス精神旺盛だ。【相原斎】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)