100周年の大きな節目を終え、宝塚は次世紀へ踏み出した。そのけん引役として大きな期待を受ける花組トップ、明日海りおの新年初作品は、オスカー・ワイルドの喜劇をもとにした「Ernest in Love(アーネスト・イン・ラブ)」(19日まで東京国際フォーラムで上演中)だ。昨年5月のトップ就任から3作目。8月には台湾公演も決まり、今年の誓いに「進化」を掲げた。

 「感」から「進」へ。明日海は2015年の誓いをこう表現した。大先輩蘭寿とむの後を受け、トップに就いた昨年を振り返り「いろんなものを感じ、みんなに感謝した1年でした」。今年は「進化。進んでいくぞという気持ちです」と話した。

 作品も前作から大きく変わっている。今作はオスカー・ワイルドの喜劇「まじめが肝心」が原作。陽気なコメディー。前作「エリザベート」の黄泉(よみ)の帝王・トートとは、真反対のキャラクターだ。

 「最近は、眉間にしわの寄るような役が多かったので、最初は不安でした。喜劇をやるときのエネルギーって、本当にすごい。エリザベートで歌は鍛えられましたので、今回、さらにレベルアップして、いろんな表情を出せるように」

 前作は歌唱力が要求されたが、今回は喜劇だけにセリフの間、表現力が求められる。宝塚では05年に月組、花組で上演されている。

 「当時、瀬奈じゅんさん(主演公演)を見に行きました。もう! ディズニーランドみたいに、すごくワクワクして楽しかった」

 喜劇の奥深さを痛感。今作でトップ3作目になる。

 「班が分かれると、あっちは元気かなって、自然と考えています。『よっしゃ、ついてこい』というタイプではないので、普段は和気あいあいと。でも、みんなの力を集中させなきゃいけないので、誰よりも集中して臨む姿を見せて」

 決して体育会系リーダーではない。自分の性格を「だいぶ、ほんわかしています」とも。トップの性格で、組の雰囲気は大きく変わる。組メンバーも、明日海をもり立てようと懸命だ。花組は昨年の100周年運動会で最下位だった。

 「みんなすごく頑張ってくれたのに、結果につながらなくて、責任を感じちゃって…。みんなが心配してくれて、手作りの賞状を作ってくれました。その気持ちがすごくうれしかった」

 重責を担う明日海を思い、組メンバーは賞状とともに「疲れたときに肩をもみます券」「重いものがあったら運びます券」なども贈ってくれたという。明日海の花組らしい。怒りの感情も「よく考えて口にする」タイプ。性格は穏やかだ。

 「今年は、みんなでバーベキューに行きたい。蘭寿さんのときも(定期的に)行っていたんですけど、私(のトップ就任後)はまだ行けていない。トップ初バーベキューをやらなきゃ」

 恩返しも考えている。

 「焼く担当は、腕まくりに、はちまきで男役になりますね。遊ぶ子も、食べる子もいて、個性が見えるんですよね。私は…しっぽりするタイプです(笑い)」

 一昨年春の台湾公演に主演した星組トップ柚希礼音は5月に退団予定。8月の台湾公演主演は、明日海に決まった。次世代の“顔”の1人として、覚悟は内に秘めながらも燃やし、進化を続けていく。【村上久美子】

 ◆ミュージカル「Ernest in Love」(19日まで上演中、東京国際フォーラム=原作・オスカー・ワイルド、日本語脚本、演出ほか・木村信司氏) オスカー・ワイルドの喜劇「まじめが肝心」が原作。60年にオフ・ブロードウェーで上演されたミュージカルをもとに制作。陽気でしゃれた作風。宝塚では05年、梅田芸術劇場の月組公演で瀬奈じゅんが主演、日生劇場の花組公演では専科から樹里咲穂が主演。

 ☆明日海(あすみ)りお 6月26日、静岡市生まれ。03年4月「花の宝塚風土記」で初舞台。月組配属。08年「ミー・アンド・マイ・ガール」で新人公演初主演。11年「アリスの恋人」(バウ)主演などで活躍し、12年4月に月組準トップ。13年1月から三井住友VISAカードのキャラクター。同3月、花組へ移り、昨年5月に同組トップ。昨夏の「エリザベート」で卓越した歌唱力を披露。身長169センチ。愛称「みりお」。