オーディオの高音質志向が高まる中、マスターテープ音源そのものの音を感じ取れる高音質ディスク「ダイレクト・カットSACD」がオーディオファンの注目を集めている。

 通常のCDは、量産用の原盤への保存、編集を繰り返す過程で音の劣化が生じてしまうが、ダイレクト・カットはマスターテープに最も近い原盤からプレスを行う。大量生産できないため、平均2万円という高額の限定販売となるが、クラシックやジャズのファンから熱い支持を得ている。

 クラシック音楽に強いオクタヴィア・レコードでは、映画「2001年宇宙の旅」のサントラでも有名なシュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」や、人気ピアニスト金子三勇士のアルバムなど約50タイトルのダイレクト・カットをそろえている。全国各地で行われている大規模なオーディオショーでは、平均2万円の価格帯にもかかわらず、10枚単位で売れていくという。

 CD不況が長引く中、「高音質で音楽を聴きたい」というオーディオファン市場は独自の元気さを見せている。