現役最高齢の歌舞伎俳優中村小山三(なかむら・こさんざ)さん(本名福井貞雄=ふくい・さだお)が虚血性心不全で6日、亡くなったことが7日、発表された。94歳。今月1日に東京・浅草で初日を迎えた「平成中村座 陽春大歌舞伎」にも出演予定だったが、初日から休演していた。通夜は8日午後6時、告別式は9日午前11時から、東京都中野区中央2の33の3宝仙寺で。喪主は中村勘九郎、中村七之助。

 小山三さんは4歳で中村米吉(後の17代目中村勘三郎)に入門、1926年に初舞台を踏み、最晩年まで女形を務めた。17代目と12年に亡くなった18代目中村勘三郎さん、勘九郎、七之助兄弟と3代の中村屋に仕え、舞台を支えた。勘三郎さんは、最後の舞台となった12年5月の平成中村座公演で小山三さんと口上を行い、「家宝です」とたたえた。幹部ではない小山三さんが口上に並ぶのは異例だった。

 中村屋一門だけでなく、歌舞伎界の生き字引的存在で、舞台に登場するだけで大きな拍手が起きる誰にでも愛されるキャラクターだった。勘九郎と七之助は連名で「長きにわたり、祖父、父、そして私たちを常に支えてくれた中村屋の宝です。今はただ感謝の気持ちしかございません」などとコメントした。