単独での5度目の来日公演を行う英歌手ポール・マッカートニー(72)が20日、米国発カナダ経由のチャーター機で関西空港に到着した。昨年5月も日本公演のため来日したが、体調を崩し全公演は中止。出迎えたファン約500人に「オス(押忍)」と気迫のあいさつ。リベンジを誓った。

 午前8時すぎ、サングラスに黒のジャケット姿のポールが登場すると、ファン約500人が歓声を上げた。ナンシー夫人(55)と肩を組み、大興奮するファンに向けて「オハヨウゴザイマス」「オス(押忍)」と気迫のあいさつ。何度もお辞儀した。

 昨年5月に来日したが、初日の開演直前にウイルス性炎症で体調を崩した。腹痛で1週間食事ができず体重が6キロ減り、一時は入院する重症で、国立競技場など全4公演が中止となった。日本を離れるとき、ファンに「また近いうちに会えることを信じてます」とメッセージを出した。

 帰国後のインタビューでも「僕は1日も早く日本に、リベンジするために戻りたい」と決意をにじませた。無念の公演中止から約1年。約束を果たすために戻ってきた。

 左手には黒いベースケースを持っていた。その中にはポールの象徴とも言えるドイツ・ヘフナー社の「バイオリンベース」が入っていた。愛器を握りしめたままファンの前に現れたのは、ポールの強い思いが込められているようだった。

 5度目の来日公演「アウト・ゼアー ジャパン・ツアー2015」はきょう21日に京セラドーム大阪、23、25、27日に東京ドーム、28日の日本武道館と続く。各公演とも若干の当日券が販売される。5公演で約20万人を動員する。

 ポールが日本武道館のステージに立つのは1966年(昭41)のザ・ビートルズ初来日コンサート以来、49年ぶり。「武道館に戻ることができて最高にうれしいよ。とても特別な場所だし、僕たちが初めて演奏した場所でもあるしね」とコメント。同公演のために特別な演出も検討している。

 5月1日に離日予定。12日という短い滞在期間中の観光などは未定だ。“リベンジ公演”を成功させ、5月2日の公演地、韓国に向かう。【松浦隆司】

 ◆ポールの過去の来日公演 66年のザ・ビートルズ初来日公演を含めると、90年、93年、02年、13年に続き、今回で6度目。単独では5度目。来日は単独では6度目(ビートルズ時代を含めると7度目)。13年11月の日本公演では3都市6公演で26万人を動員。ビートルズナンバー25曲を含む39曲を歌った。