歌手のGACKT(41)が、政府がアニメや漫画など日本文化を海外へ向けて推進している「クールジャパン」戦略について、「無駄な税金がただよくわからない企業に流れるだけといった、負のループに陥っている」と私見を述べた。

 GACKTは29日にブログを更新。しばしば海外を訪れるGACKTは、訪れた国々で日本のアニメや漫画がすさまじい人気を得ていることを実感しているという。自身主宰のグループ・神威♂楽園のメンバーが人気漫画「NARUTO」を原作とした舞台をアジア諸国で上演することになり、その会場を訪れた。かなり大きな会場で、GACKTも「正直、そんな会場を埋められるのか…と疑問だった」そうだが、現地でのNARUTO人気もあり、関係者は当然満席となると踏んでいたという。しかし実際には会場の半分以上のスペースが埋まっていなかったそうだ。

 GACKTは「全体としては非常に良いものだったと思う」と擁護した上で、「結論から言うと、本の内容を短縮しないでもっとキッチリと内容を届けることが出来れば完成度の高い舞台になったのではないのか…?」と指摘。さらに客が入らなかったことについては、「残念で仕方がないのは、この舞台の宣伝が全くなされていないことだ。つまり、プロモーションがまったく機能していない」と宣伝不足を嘆いた。

 「舞台に上がってる演者もそのスタッフも必死だ。少しでも日本の作品が海外の人たちの心に触れれば…。その思いが1人でも多くの人に届くために、もっとたくさんの協力がいる。本気の協力が必要なんだ」とした上で、例として韓国のアーティストなどが海外へ進出する際には国の政策の一環としてバックアップを受けられ、それらの成功例とクールジャパンと比較して、「日本政府はクールジャパンという名の下に新しい試みをスタートさせようとしたが、いまだ多くの予算は立てられたもののまったくその使い道さえわからず無駄な税金がただよくわからない企業に流れるだけといった、負のループに陥っているといっても過言じゃないだろう」と私見を述べた。

 さらに「仮に100歩譲って、そのよくわからない企業に流れていることを良しとしたとしても、なんら日本の文化が海外に運ばれている結果も事実もほぼない。経産省はこの予算の使い道がいまだに全くわかっていないと非難されても仕方がない」と批判した。

 「今の日本は、完全に出遅れてしまった。アジアの中では取り残されている」というGACKT。海外の映画界で通用する日本人俳優が渡辺謙以降現れていないとし、その原因は国のバックアップがないことだとした。そして再度クールジャパンを引き合いに出し、「いまだ宙に浮いているクールジャパンの予算…。いったい誰のための予算なのだろうか? 実際に日本に住んでいる人達はクールジャパンがどういうモノなのかを理解しているのだろうか? そもそもクールジャパンってなんなのだろうか? 明確にこたえられる人がどれぐらいいるのだろうか? 悲しい話だ」と疑問を提起。「悲しい話だ。これほど民間と政府の足並みがそろっていない先進国が自分の国だと思うと寂しい気持ちが込み上げる。なんとかならないものなのか…。このままでは本当に次の世代が育たない」と難色を示した。