今年4月に東京都杉並区で俳優萩原流行さん(当時62)が大型バイクで転倒し死亡した事故で、警視庁は10日、自動車運転処罰法違反(過失致死)の疑いで、直前に車線変更した護送車を運転していた同庁の男性警部補(56)を書類送検した。警視庁によると、護送車が車線変更する際、後方の安全確認が不十分だったと断定。警部補は「車線変更が事故の一因だったのは間違いない」と話している。萩原さんの死因は、胸部を強く打ったことによる左心房破裂などだったことも判明した。

 書類送検容疑は4月22日午後6時5分ごろ、片側3車線の青梅街道で一番左の車線から右に車線変更した際、中央車線を走っていた萩原さんのバイクを転倒させ、後続の乗用車にひかれた萩原さんを死亡させた疑い。

 バイクは転倒後に滑走し、前のタイヤが護送車の運転席側ドアの下部にぶつかった。護送車はウインカーを出して車線変更していたという。警部補は、ライトを付けた萩原さんのバイクとみられる車両に気付いていたが「譲ってくれるだろうと思った」とも供述している。警視庁は10日、同容疑で乗用車の男性会社役員(59)も書類送検した。

 これまで警察に事故説明を求めたり、会見を開いて警察に対する不信感をあらわにしてきた萩原さんの妻まゆ美さんはこの日、「やっとスタートしたとの思いが正直なところです」とコメントした。現在も、警察側から書類送検に至った経緯などの説明は受けておらず、「心境としては知らせてほしい」という。今後については「未定です」と話したが、弁護士と話し合いながら、納得できるまで真相の究明を続けていくつもりだ。