作家朝井リョウ氏(26)の13年の直木賞受賞作「何者」が映画化され、佐藤健(26)が主演することが10日、分かった。大学生5人が就職活動を通して「自分が何者か」を模索する姿が描かれる。共演は有村架純(23)二階堂ふみ(21)菅田将暉(23)岡田将生(26)山田孝之(32)と豪華な顔触れがそろった。メガホンは三浦大輔監督が取り、10月15日公開。

 「何者」は、男性作家最年少の直木賞受賞作としても話題になった小説。就職活動の情報交換のために集まった大学生5人が励まし合い、その思いや悩みをツイッターに投稿するが、それはあくまでも表の顔。裏では嫌悪感や複雑な思いを抱えていた二面性が生々しく描かれている。

 映画化にあたり東宝の川村元気プロデューサーは、「就職活動」と「俳優業」に、「選考で勝ち残るサバイバルの世界」という類似点があることに注目。「撮影現場が、横並びの戦いの場になったら作品の構造と重なって面白いのでは」という発想で配役を進めた。結果、タイプやイメージは異なるが、人気や実力、実績などが拮抗(きっこう)した主役級の人気スターが集結した。

 製作側は、役作りの助けになればと、大学生役の5人に就職活動の疑似体験の場も設けた。東宝人事部の協力で、エントリーシート(応募用紙)の作成や筆記試験、面接、さらに就職活動中の大学生を交えたグループディスカッションを経験した。

 周囲を客観的に見つめ、人を分析することが得意の主人公を演じる佐藤は「一筋縄ではいかない原作を、一筋縄ではいかないキャスト、スタッフの皆さんと映画化できることをうれしく思います」と話す。主人公が思いを寄せる存在を演じるのは有村。「(就活体験した5人で)同じ舞台で芝居することが楽しみ。たくさん刺激を受け、たくさん吸収したい」という。

 大学生役の佐藤、有村、二階堂、菅田、岡田の5人に加え、主人公の先輩役を山田が演じる。出演を決めた動機について「スターが集まっていてヒット作のにおいがしたので便乗したというのが事実です」とユーモアを交えて話す。

 撮影は既に始まっている。製作側は、就活大学生が自分が何者になるのか、なりたいのかという問題を見つめ直していく姿を描く「就活青春エンターテインメント」を目指すという。

 ◆映画「何者」 力を合わせて就活を進める5人はなかなか内定が得られない中、就活へのスタンスや取り組み方の違いに嫌悪感を抱き、人間関係にゆがみが生じ始める。やがて「内定者」が現れた時、そこで見えてきたのは、これまで隠されてきた裏の顔だった。