4月に急死した歌手プリンスさん宅から、ヘロインよりも50倍強力な麻酔用鎮痛剤「フェンタニル」を含んだ偽造薬が発見されたとの報道が浮上した。

 まだ捜査が進められているとの理由から、捜査関係者が匿名でミネソタ・スター・トリビューン紙に明かしたところによると、プリンスさんの死後に自宅で発見された10錠ほどの薬に、“Watson 385”という刻印があったという。

 この刻印は、より低い効力を持つ鎮痛薬アセトアミノフェンとヒドロコデインが入っていることを示すものだが、検査の結果、強力な鎮痛剤フェンタニルが含まれていることが明らかになったという。

 フェンタニルはヘロインより50倍、モルヒネより100倍、強力なオピオイド系の鎮痛剤だが、情報筋は同紙に、プリンスさんがより強力な薬が含まれていることを知らずに、事故で過剰摂取した可能性もあるとしている。

 検死の結果、プリンスさんはフェンタニルの過剰摂取による事故で死亡したと発表されたが、プリンスさんの死亡前に行われた検査では、体内にフェンタニルは検出されていなかったという。これは長い間、この薬に依存していたわけではないことを示しており、死亡する24時間以内に薬を過剰摂取したと見られている。

 プリンスさんは死亡する前の1年以内には、ミネソタ州での規制薬物の処方箋を所持しておらず、捜査当局はどのように薬を入手したかを調べている。

 複数の関係者らが米情報サイトTMZに語っているところによると、ミネソタ州の法律のもとでは、プリンスさんにフェンタニルを与えた者は第3級殺人罪に問われるが、処方箋がない以上、医師らが罪に問われることはないという。(ニューヨーク=鹿目直子)