新藤風監督(40)の11年ぶりの新作映画「島々清しゃ」初日舞台あいさつが21日、東京・テアトル新宿で行われた。

 「島々清しゃ」は、沖縄の慶良間諸島に住む、耳が良すぎて音に敏感なうみ(伊東)が、周囲に変人扱いされる中、コンサートのために訪れたバイオリニストの祐子(安藤サクラ)と出会い、かたくなな心を解放していく物語。沖縄の雄大な自然と、沖縄民謡に心を癒やされる祐子をはじめ、登場人物の心が音楽と自然に癒やされ、解放されていく、人々の再生の物語だ。

 安藤サクラ(30)は、劇場のテアトル新宿が新宿・歌舞伎町に近いことを踏まえて、ジョーク混じりで映画の素晴らしさを訴えた。

 安藤 島で聞いた音、目で見た色、肌で感じた風とか全部、深いところに残っていて、それが映画(のスクリーン)に残っていて、劇場で感じられるのはぜいたく。映画じゃないと、こんなにダイレクトに伝えられない。劇場で五感で、全身で感じてほしい映画。この映画を劇場で見たら、ちょっと新宿の悪いことをしている人も、減るんじゃないかなと思っています(笑い)ぜひ、小さい子から犯罪者の皆さんにまで、劇場で見ていただきたいと思っています(笑い)日本に美しい場所、音があるんだというのを、もっとたくさんの方に伝えていけたらと思うし、押し付けがましくなく知ることが出来る映画。沖縄のいろいろな問題がニュースに流れますけど、「島々清しゃ」で、いい振動で伝わっていけばいいんじゃないかな。

 主演の伊東蒼(11)は、あいさつの冒頭から感極まり涙を流した。

 「私は『島々清しゃ』で、うみちゃんを演じなかったら、沖縄のことも詳しく知らなかったし、島のことなんて全然知らなかったし、沖縄民謡のことも知らなかったと思います。演じて、すごく好きになりました。『島々清しゃ』を好きになってもらえたら、好きになったよと、いっぱい言ってください」

 新藤監督も、伊東の涙に感極まったのか、目に涙を浮かべながら、満員の客席に向かって、あいさつした。

 新藤監督 こんなに、たくさんの方に来ていただいてうれしいです。いろいろあって、11年ぶりに撮って、大人も子供も頑張って、こんな映画が出来ました。子どもを嫁に出した気持ちで、気楽にこれから皆さんに愛される映画になればと思います。

 舞台あいさつには山田真歩(35)、渋川清彦(42)が出席。舞台あいさつの途中で、映画に出演し、この日、客席から映画を見ていた永吉千花も、登壇者に促され、飛び入りで登壇した。【村上幸将】