ジョージ・クルーニー主演の米映画をもとにした宝塚歌劇の宙組公演「オーシャンズ11」が19日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。175センチの長身。男役として恵まれたスタイルで魅了するトップ真風涼帆(まかぜ・すずほ)が、天才詐欺師のダニー・オーシャン役を好演した。

ラスベガスを舞台に、11人の男たちが金庫破りに挑む物語を描き、11年に当時星組トップ柚希礼音が主演した星組公演で初演。13年には当時花組トップ蘭寿とむ主演の花組公演で再演された。ハリウッド映画が題材だけに、自然体でのスーツの着こなしなど、男役としては難易度が高い。

トップ在位は6年を超えた「レジェンド」柚希礼音の星組育ちで、11年初演時には新人公演で主演経験もある真風が、今回は本公演でセンターに。演出の小池修一郎氏は、初日開演前の稽古後に取材に応じ「(真風は新人時代の)お手本が柚希。今に通じるダンディーさがある」と評価した。

柚希イズムを継承しながらも、独自のダンディズムを持ち込み、天才詐欺師ダニーを演じた真風には「天衣無縫。自分で築いてきた基礎的な(男役としての)実力の上に、ある意味、遊び心をもってやれば」と、さらなる進化も期待した。

ダニーの妻で夫とは離婚危機、その最中に敵役にもひかれるなど、大人の女・テスを演じたヒロイン、トップ娘役の星風まどかはまだ新人学年の6年目。小池氏も「学年的に若くて、人妻で離婚危機にあるヒロインは、どうかな…と思ったが、きっちり稽古を重ねてきてくれた」と、合格点を与えた。

主人公ダニーの敵役で、テスをねらうラスベガスのホテル王は、桜木みなとが好演。「これまで陰影のある役の印象はなかったが、たいへん力を着けていて、見る側からもひじょうにおもしろい役者に育っている」とたたえた。

2番手スター芹香斗亜(せりか・とあ)は、主人公の盟友役を軽快に演じ、歌、芝居運びともに安定感を発揮。芹香は11年の初演時は星組で、花組へ移った後の13年にも同作に出演。星組時代の新人公演に真風とともに出演し、花組では蘭寿を本役として主演した。

小池氏は芹香について「蘭寿のダニーがお手本で、見た感じは純真無垢(むく)でも、演技の振り幅がある」と言い、懐の広さに感服した。

今回、3回目となる「オーシャンズ11」は、主人公が若者グループを率いており、若手の見せ場も多い。これまで、花組の柚香光ら、抜てきにこたえた若手スターが一気にスターダムをかけあがってきた。

今回は、5年目に入ったばかりの101期生・鷹斗千空(たかと・ちあき)がメンバー入りしている。小池氏は「今回も和希(そら)、鷹斗から下(級生)の子らが発奮してくれれば」と期待していた。

宝塚大劇場は5月27日までで、105期生の初舞台公演になる。

東京宝塚劇場は6月14日~7月21日。