「B’z」や大黒摩季など人気アーティストの音楽ソフトを手がける大手音楽事務所「ビーイング」(東京)グループ約30社と創業者の長戸大幸取締役(65)が、東京、名古屋、大阪の3国税局による税務調査で、2012年までの5年間に計約20億円の申告漏れを指摘されていたことが9日、分かった。

 うち約10億円は仮装隠蔽(いんぺい)を伴う所得隠しと判断されたもようだ。赤字決算の期があったため、重加算税を含む追徴税額は法人税、源泉所得税、所得税合わせて2億数千万円とみられる。

 ビーイング側は「見解の相違はあったが、国税当局の指摘を受け入れ、修正申告した」とコメントしている。

 ビーイング側や関係者によると、同社は契約する歌手の育成費用として数千万円を経費に計上。国税当局は、一部が相場より高額で対価性に欠けるとして、歌手が所属する芸能事務所2社への寄付金と判断したという。

 また「アトラスト」(大阪)など関連の不動産会社は、東京や大阪に所有するマンションの一部を空室などと偽り、所属歌手や幹部を無償で入居させていた。国税当局は、家賃分は幹部らへの事実上の給与だと認定、源泉所得税を追徴課税した。京都市内のビルでテナントへの立ち退き料処理にからみ、約4億円の申告漏れを指摘されたという。

 国税当局は、長戸取締役の親族や知人名義で保有していたグループ株の売却益1億数千万円についても、実質的な所有者は長戸取締役だったとして、所得税を追徴課税したもようだ。

 ビーイング側は「株売却に関して長戸氏が課税されたのは約200万円で、高額な課税は発生していない」としている。