漫画家やなせたかしさんの死去を受け、同シリーズを発行している株式会社フレーベル館らが主催した会見が、都内で行われた。

 同社専務取締役の鈴木晴夫氏は、やなせさんがぼうこうがんを患い、肝臓に転移している状態だったことを明かした。

 「一昨年くらいにぼうこうがんになられて、そこから、がんの進行があったと。それが肝臓のほうに移転して、最終的に心不全でお亡くなりになられました」

 やなせさんは、今年8月の下旬から入院していた。入院中も、来年公開予定の新作映画やテレビアニメの制作指示などを出していた。

 鈴木氏によると、「元気そうな様子だった。何年も前から、病院を別荘代わりにして、リフレッシュで入院をするようなところがあったので、われわれは心配はしていませんでした」という。

 今月12日の午後10時ごろにスタジオのスタッフが訪れた際には明瞭な受け答えをしていたが、深夜2時ごろに病院から心電図の具合が悪いという連絡が入り、スタッフが駆けつけたところ、すでに問いかけても反応がない状態だったという。

 また、同社のアンパンマン室長で、かつて編集者としてやなせさんの担当をしていた天野誠氏は「先生の一番すごいところは、締め切りを遅れたことが一度もないところ。新聞連載にしても、必ず全部、締め切りより前に出てくる。私が今まで担当した作家さんはやなせ先生だけではありませんが、先生以外でそのような方は1人もおりません。手術をする際には、2カ月、3カ月先のお仕事を事前にこなしておられました」と話した。

 日本テレビ系アニメ「それいけ!アンパンマン」の中谷敏夫プロデューサーは「音楽の作詞作曲も自分でやられるし、絵も描かれるし、スーパーマンのような人だった。2年くらい前から緑内障で目が見えなくなったことがショックだったようで、『IPS細胞を自分で実験しろ』とおっしゃっていたのが印象的だった」と話した。追悼番組などの放送は未定だが、今後も変わらずアニメを放送し続ける方針だという。