09年に乳がんのため38歳の若さで亡くなった歌手の川村カオリさん。28日に5回目の命日を迎え、川村さんと生前親交のあった放送作家の鈴木おさむ氏(42)が故人との思い出を自身のブログにつづった。

 晩年、川村さんが生放送の音楽番組に出演した際の思い出を振り返った鈴木氏。それまで、テレビ出演を拒んでいた川村さんだが、がんを患い余命宣告を受けた彼女の意識に変化があったようで、出演して歌を披露したという。

 そんな川村さんと放送後に焼き肉屋に行ったという鈴木氏。すでにがんが進行していたはずの川村さんがテレビ生放送で歌う気丈な姿を見て、「がんって痛くないんですか?」と尋ねたが、川村さんは「めちゃくちゃ痛いよ」と言いつつも笑っていたという。

 鈴木氏は、川村さんのそんな「強がり」な一面が印象的だったようで、その歌番組では、テレビを拒んでいたのに久しぶりに出演した川村さんは歌を間違えてしまったという。その悔しさで、焼き肉屋では周囲の制止を振りきってビールを頼んだそうだ。「あれがロックミュージシャンという人生を選択した自分の強がりで

 パフォーマンスだったかもしれない。だけどね。だけど。あんな姿見たら忘れられないよ」と、鈴木氏は故人をしのぶ。

 最後となった渋谷公会堂でのコンサート。立っているのもやっとのはずの川村さんは見事に歌いきり、当時7歳くらいだったという愛娘が見守る舞台袖に倒れこんで酸素を吸入したという。

 そして鈴木氏は最後に病院で見舞った川村さんのエピソードを披露し、「川村さんは僕の靴を見て、その靴を妻に買ってもらったものだというと、『ラブラブじゃ~~~~ん』といじってきた。もう限界だったはずなのに。強がり」と振り返った。

 「でも、その強がりが生き様。強がりって不思議で、強がりって周りにバレていい。だからかわいく、格好いいな」と、鈴木氏は川村さんへの思いをつづっている。