上方落語家の桂春蝶(40)が7日、芸能生活20周年記念の独演会を大阪・中之島のフェスティバルホールで開催、4時間超の熱演で満員の2700人を魅了した。

 幕開けの口上には立川談春(48)、桂ざこば(67)と東西の大御所が登場。同ホールで08年と昨年5、6月に落語会を行った唯一の先輩・談春は「この場所で後輩の口上を行う日が来るとは思わなかった」。ざこばは「1番いま脂が乗っているとき。東京と大阪の(落語の)架け橋になってくれて嬉しい」と感無量の様子。会場一体となって大阪締め(手打ち)で節目を祝った。

 番組は「落語会」らしからぬ幅広いネタ4席で構成。ピアニスト西村由紀江(47)とのコラボレーションや熱唱、日本とトルコの友好関係の始まりといわれる「エルトゥールル号遭難事件」(1890年)を題材とする新作「伝承落語」、最後は古典落語「芝浜」のネタおろしまで「20年の集大成」を披露した。終幕時、感極まった春蝶は高座で声を詰まらせた。

 プロ野球阪神ファンとして知られるが、昨年9月の発表会見では「2700人入らなかったら(阪神2軍本拠地の)鳴尾浜球場から(落語会を)やらせていただきます」と公約。実際には公演1カ月前に無事完売となったが、反響の大きさから鳴尾浜「追加公演」も検討中とのこと。不惑を迎えたが“奇想天外”な動向に注目が集まる。

 春蝶は93年実父である2代目の死を受け、落語家となることを決意。翌年に3代目桂春団治に入門、春菜を名乗り、09年に3代目春蝶を襲名した。現在は東京に拠点を移しつつも、ラジオ関西「桂春蝶のバタフライエフェクト」(月・火曜、午前9時)など活動の幅を広げる。