森光子(88)が8日、ライフワーク舞台「放浪記」の大阪・名古屋公演(10~12月)の会見で5日に亡くなった緒形拳さん(享年71)をしのんだ。

 会見冒頭、森は「気になることは緒形さんのこと。突然のご逝去につらい思いがいっぱいです」と切り出した。40年以上前に新国劇の舞台で初共演した。「きびきびと働く明るい若者を拝見し、声をかけたことを思い出します」。その後、ドラマ「私はダイヤモンド」(68年)「さよならこんにちは」(73年)で恋人役などで共演した。ここ35年は共演しなかったが、気になる俳優だった。「お仕事が好きな方で、すごい作品ばかり残している。守備範囲が広く、今も緒形さんの顔がチラチラと目に浮かびます。天国からご覧いただいていると思いながらやらせていただきます」。

 12月5日の名古屋・中日劇場千秋楽で上演回数1995回、来年5月9日の89歳誕生日の帝劇公演で2000回を達成する。「すごいこと。数字じゃないけれど、ここまでやってこられたのはお客さまのおかげです」。会見では今年で現役引退したスポーツジム仲間の元大リーガー野茂英雄氏からの「森さんのように野球人生を貫き通したいと思っています」とのメッセージが披露された。

 親交のあるソフトバンク王貞治監督も退任したが「おふたりの観劇を心待ちにしています。森はまだやっているとお思いでしょうが、神様から与えられた年数を健康で、皆さまにお目にかけられるお芝居をやっていきたい」。生涯女優の森に「引退」の2文字はない。