ビートたけし(61)が、TBS系特別ドラマ「あの戦争は何だったのか(仮題)」(放送日未定)に主演し、東条英機を演じることが12日、分かった。メークを施したが、眼鏡とひげをつけた程度で、東条英機本人にそっくり。同局関係者によると、たけし本人も扮装(ふんそう)した自分と東条の写真を見比べて驚いているという。

 八木康夫プロデューサーは「たけしさんも『似ている。当時の演説の声を聞いたら、ちょっと高い声質も似ているんだよな』と、驚いていました」と語った。

 物語は、太平洋戦争がなぜ起こったのかをテーマに、1941年9月6日の御前会議から12月8日の開戦までの3カ月間を中心に描く。東条は、首相と複数の大臣を兼任、日本を戦争に導いた人間として戦後、A級戦犯となり死刑になった。八木氏は「たけしさんは東条に対し、築いた地位や名誉を国の将来より優先した人間の弱さを感じているようです。それを演じることに意味を感じているのではないか。東条を演じるのは彼しかいない」と起用のいきさつを説明した。2人が予想以上に似ていて「うれしい誤算。あんなに似ているとは思いませんでした」。

 これまで、戦争の悲惨さを被害者の視点から描く作品は多かった。だが、同ドラマは、政権を放り出す首相がいたり、省庁の縄張り争いなど、現代と共通点があったことに着目。戦争危険性は今の時代にもあるというメッセージを伝えたいという。セットもリアルさにこだわり、現代ドラマでは異例だが、軍人役の俳優の頭髪はほとんど角刈り。顔と声も似ているたけしが演じるリアルな東条が、話題となりそうだ。