酒井法子被告(38)は保釈から2時間後の17日午後6時半から、東京・如水会館で謝罪会見を開いた。公判前という理由から質疑応答はなく、謝罪の気持ちをしたためた文章を約3分半かけて読み上げた。拘置中に芸能界引退を示唆していたが、会見には弁護士に加え、元所属事務所サンミュージックの相沢正久副社長(60)と元契約所属レコード会社ビクターエンタテインメントの三枝照夫会長(58)が同席。酒井被告は涙ながらに「2度と信頼を裏切ることはありません」「恩返しをしたい」と語るなど、言葉の端々に芸能界復帰を望む強い気持ちをうかがわせた。会見には海外メディアを含む500人以上の報道陣が集まった。

 酒井被告は保釈時とは違う黒のジャケットを羽織り、脚のラインがくっきりと見えるひざ上丈のスカート姿で現れた。メークも保釈時よりはしっかりしており、髪には黒いカチューシャを着けた。会見冒頭、無数のフラッシュを浴びながら、同席者と並んで深々と頭を下げ、体を起こしても顔はうつむいたままだった。

 相沢氏と三枝氏が罪をしっかりと償ってほしいと口にすると、酒井被告の目から涙がこぼれ始めた。保釈直後は元アイドルの条件反射なのか、笑顔を見せた瞬間もあったが、会見では一転して涙を流し続けた。謝罪文を読み上げる時間が近づくと、ハンカチを取り出し、あふれた涙を何度もぬぐった。

 拘置中は「これからは静かに暮らしていきたい」と話し、芸能界引退をほのめかした。ところがこの日読み上げた謝罪文では、芸能界復帰を強く望む意志が透けて見えた。「信頼をすぐに回復することができるものではないことはよく分かっています」としながらも「生まれ変わった気持ちで心を入れ替え、日々努力していきたい」。さらに再犯の可能性を強く否定した上で「みなさまのお気持ちに恩返しをしていきたい」と、ファンやスタッフに向けて出直しを誓う言葉を選んだ。「至らぬ点を厳しく指摘いただき、素直に拝聴して新しい1歩を踏み出していきます」とも話し、来る日の“新生のりピー”をアピールしているようにも受け取れた。

 同席者の顔ぶれも意味深だった。芸能界における「育ての親」でもある相沢氏と、歌手として自分をデビュー時から支えた三枝氏が並んで座った。すでに契約解除されたが、今も芸能界と結びつきが深い印象を与えた。酒井被告の早期復帰は困難とみられるが、芸能界ではこれまでも薬物事件で裁きを受けた大勢の歌手や俳優、タレントが復帰している。長年親しんだ芸能界で再起を図る可能性は高い。

 [2009年9月18日10時56分

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