26日、東京地裁で行われた女優酒井法子被告(38)の初公判の傍聴を希望して6615人が集まった。同地裁史上2番目の人数で、約330倍の倍率は最高だった。抽選会場の東京・日比谷公園は朝からの強い風雨の中、長蛇の列ができた。整理券として配布されたリストバンドを3本も手に入れる男性が現れるなど、課題も残った。

 酒井被告の初公判の一般傍聴席は20席。それに対し6615人が並んだ。96年4月のオウム真理教の松本智津夫死刑囚(54)の初公判に並んだ1万2292人に次ぐ多さだったが、倍率は当時の約256倍(一般傍聴席48)を上回る約330倍だった。地裁に隣接していることから会場に指定された日比谷公園の警備には、地裁の職員と外部警備員合わせて約60人が当たった。朝からの強い風雨にもかかわらず一時は6つに分かれた列が500メートル以上のびた。

 列の先頭は前日午後11時50分から並んだという男性だった。「悪い言い方をするとお祭りごとのようで。人がいっぱいいるんだろうと思ってきたら、1番でした。寂しかったですよ。2番目?

 4時半ごろ来ましたね」。ゲームや音楽で、一夜を明かしたという。

 埼玉県在住の男性会社員(36)は母親(59)とともに傍聴券を入手する列に加わった。「酒井被告のファンです。大人としてしてはいけないことに手を出したことを本人はどう思っているのか知りたい」と話した。また雨の中、車いすで訪れた都内在住の女性会社員(38)は「同い年の酒井被告だけに興味を持っていました」と話した。

 普段の抽選は整理券の番号を当せん番号としているが、この日は番号が書かれたリストバンドが使用された。簡単には破れない紙でできており、当せん者は1度現場を離れても公判までに地裁に戻れば傍聴券と引き換えてもらえる仕組みで、04年の松本死刑囚の判決公判でも導入されていた。

 この日は6列に並んだ希望者の手首に係員がバンドを巻き付けていった。5000~1万人の人出を予想していた同地裁は、約2万本を用意していた。

 1人1本のはずが中には左腕に1本、右腕に2本つけた男性がいた。早い段階で左腕につけてもらい、並び直して右腕に、さらにシャツで隠してもう1本を入手。同行した女性も2本つけていたが、2人ともすべて外れだった。地裁の関係者は「確認はしていたのですが…課題ですね」と残念そうだった。

 [2009年10月27日9時3分

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