モーニング娘。の元メンバーで、歌手の後藤真希(24)の母時子さんが、23日午後10時55分ごろ、東京都江戸川区東瑞江町2丁目の自宅3階の窓から転落死した。55歳だった。警視庁小松川署は、誤って転落したか、飛び降り自殺とみて、死因を調べている。事故現場の第一発見者は後藤で、この日は悲しみとショックが大きく、終日自宅にこもっていた。通夜、葬儀告別式は未定。

 最愛の母との別れは、突然で残酷だった。関係者の話を総合すると、23日午後10時半ごろ、時子さんは酒に酔って帰宅。後藤、長姉夫婦、次姉の家族も自宅にいた。その約20分後、時子さんは3階の部屋の窓から約6メートル下の路上に転落。真っ先に異変に気がついたのは、後藤だった。長姉が119番に連絡。救急車で病院に搬送されたが、24日未明、死亡が確認された。第一発見者の後藤は、警察の事情聴取のため、最期をみとれなかったという。

 一夜明けた自宅前のアスファルトには、血のりが残っていた。所属事務所エイベックス社員、姉らがせわしなく出入りしたが、関係者は「後藤は悲しみに伏せて憔悴(しょうすい)しきっている。家族全員がショックで通夜や葬儀のことも素早く決められない状態です」と話した。遺体はこの日、自宅に帰ることはなかった。

 遺書はなく、警視庁小松川署は事故か自殺か死因を調べている。時子さんは泥酔状態ではなかったという。だが、近所の50代女性は「肝臓を悪くするほどお酒が好きで、最近は具合悪そうでした。でも、昨日(23日)も午後1時ごろに商店街で知人とお話ししている姿を見かけました。普通でした」と話した。

 ここ数年は、時子さんには心労の重なる日々だった。07年10月に元歌手の後藤の弟(23)が都内の建築工事現場で警備員を暴行した上でケーブルを盗難した強盗致傷容疑で逮捕。08年5月に懲役5年6カ月の実刑判決を受けて現在も服役中だ。3階建ての自宅を母にプレゼントするなど頑張っていた後藤も弟の逮捕直後に、当時の所属事務所を辞めた。移籍した最近もほとんど仕事がない。かつて時子さんが経営していた近所の飲食店も閉店し、悩みは多かったという。商店街の元組合仲間だった知人は「よく川越の刑務所まで息子さんに会いに行っていて、出所を待ち望んでいたのに…」と目を伏せた。

 時子さんは最近になって周囲に自殺をほのめかし、転落した窓があった部屋は、弟の部屋だったという情報もある。関係者の1人も「部屋の窓は、乗り越えるにはそれなりの意志が必要な高さ」と話す。幼少時に亡くした父も山で転落死しており、後藤が抱える悲しみは計り知れない。

 [2010年1月25日11時48分

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