「恐縮です!」の突撃取材で芸能リポーターの草分けだった梨元勝さん(享年65)の葬儀・告別式が24日、都内の寺院で、密葬としてしめやかに営まれた。約30人ほどの親族らが参列し、喪主は妻の玲子さんが、必死に涙をこらえながら務めた。戒名は泰篤院釈勝陽(たいとくいんしゃくしょうよう)。告別式後には、長女でタレントの真里奈(30)が報道陣の取材に応じ「闘病中に家族と最も密な時間を過ごすことができた」と語った。

 生涯現役の芸能リポーターだった梨元さんだが、告別式は、報道陣を完全シャットアウトして、ひっそりと営まれた。「なかなか家族で一緒に過ごすことができなかったため、最後くらいは親族だけで送りたい」との遺族の希望からだった。梨元さんの遺志に反することを重々承知しながらの密葬となった。

 ひつぎには家族と大好きだった猫の写真、ネタがびっしり書かれた手帳、愛用の原稿用紙、肩掛けかばん、モンブランのシャープペンシルなどが納められた。遺影は、玲子さんが一番いい表情だと思った写真を選んだ。戒名の泰篤院釈勝陽は、人間味があり太陽の光のように温かいという意味で付けられた。

 関係者によると、玲子さんは式の間、ずっと下を向いたままだったという。「ひつぎに献花する時は涙しながら『今までありがとう…お疲れさま』と最後の言葉を掛けていました」としみじみ話した。今まで涙をこらえ、気丈に振る舞っていた玲子さんの緊張の糸が切れた瞬間だった。午後0時3分、梨元さんは親族の男性らに担がれ出棺された。

 告別式終了後、真里奈が報道陣の取材に応じた。沈痛な表情だが涙は見せず「父もやるだけのことはやったと思います。穏やかな表情で、静かに見送ることが出来ました。最後は今まで(父に)直接言えなかった『大好きだった』ってことを言いました。これから頑張るから見守ってね」と言葉を振り絞った。

 真里奈は20日深夜、病院に泊まっていた母から「容体が急変した」という連絡を受け、すぐに駆けつけた。だが、既に心肺停止の状態で、最期は妻と娘に見守られながら静かに息を引き取ったという。梨元さんから真里奈への最後の言葉は19日に看護した時で、背中をさすったら「幸せだぁ、真里奈にやってもらって幸せだぁ」と、笑顔で話したという。芸能リポーターとして、芸能ニュースに全精力を傾けてきた梨元さんだったが、皮肉にも闘病中に、家族と最も密な時間を過ごすことが出来たようだ。

 所属事務所によると、後日お別れの会を行う予定。

 [2010年8月25日8時39分

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