地上波と衛星放送の異色タッグが実現した。TBSとWOWOWの共同制作ドラマ「ダブルフェイス」の会見が3日、都内で行われた。ハリウッドでもリメークされた02年香港映画「インファナル・アフェア」を題材に、TBSとWOWOWがそれぞれ1本ずつドラマを制作した。TBS版は西島秀俊(41)主演の「ダブルフェイス

 潜入捜査編」。WOWOWは香川照之(46)主演の「ダブルフェイス

 偽装警察編」。それぞれ別の主人公の視点から物語を描いているが、両作品の内容は連動している。

 TBSによると、2つのテレビ局が共同でドラマを制作するのは初の試みという。TBS信国一朗常務は「映像メディアを取り巻く状況が刻々と変化する中で、会社の枠を超えた協調関係が重要になっている」として、今後も積極的に交流を続けていくことに意欲を示した。実はTBSとWOWOWでは、数年前から共同制作の可能性を探り、人材交流などを行っていたという。そうした動きの中から今回のドラマが生まれたという。TBS版「潜入捜査編」は15日放送、WOWOW版「偽装警察編」は27日に放送する。

 出演者も新しい試みに強い刺激を受けていた。香川は「今のテレビはいろんなメディアに押されて、今や第1のメディアじゃないような気がしています」と現状を見つめつつ、「生き残りをかけて実験的ではありますが、新しい姿勢を見ることができました」と受け止めている。WOWOW船越雄一取締役は「コラボによって化学反応を起こして、どこにもない番組ができた」と自信をみせた。地上波、衛星放送を交えたボーダーレス化が今後も加速していきそうだ。

 ◆映画「インファナル・アフェア」

 マフィア組織に潜入した捜査官ヤン(トニー・レオン)と、逆にその組織から警察に潜入したラウ(アンディ・ラウ)。スパイとして潜入している2人の男の息詰まる心理戦や心の葛藤を描いたサスペンス。03年に日本公開。06年にレオナルド・ディカプリオとマット・デイモンが共演した「ディパーテッド」としてリメークされ、アカデミー賞で作品賞や監督賞を受賞。