9代目中村福助(52)が来春に歌舞伎界の大名跡である「7代目中村歌右衛門」を襲名することが3日、分かった。来年3、4月に東京・歌舞伎座で襲名披露興行を行う予定で、今日4日、都内で会見を行う。先代の6代目中村歌右衛門が01年に亡くなっており、13年ぶりの名跡復活となる。福助の長男6代目中村児太郎(19)も10代目福助を同時襲名する。

 歌右衛門は女形として最高峰の大名跡で、江戸時代中期から続いてきた。福助の曽祖父にあたる5代目歌右衛門は大正、昭和の歌舞伎界に君臨し、大叔父の6代目も戦後歌舞伎をけん引し、文化勲章を受章した。

 福助は2年前に亡くなった中村芝翫の長男で、幼いころから父の薫陶を受け、本格派女形の道を歩んだ。一方で、義兄の中村勘三郎とともにコクーン歌舞伎や平成中村座でも活動し、映画などにも出演。先代に実子がなく、福助の襲名は既定路線だった。

 松竹は4月に新開場した歌舞伎座もこけら落とし公演の1年間は大入りが続くと見込んでいるが、以降は大名跡の襲名などで盛り上げたい思惑を持っていた。先代も51年に4代目の歌舞伎座が開場した時に「6代目歌右衛門」襲名興行を行った。歌舞伎界は市川団十郎さん、中村勘三郎さんという大看板を相次いで亡くし、大名跡の復活は急務だった。勘三郎さんは生前、福助の歌右衛門襲名を気にかけていた。

 ◆9代目中村福助(なかむら・ふくすけ)1960年(昭35)10月29日、東京生まれ。67年に5代目児太郎で初舞台を踏み、92年に9代目福助を襲名した。屋号は成駒屋。弟は3代目中村橋之助。大の阪神タイガースファンとして知られる。