TBS系ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」がスペシャルドラマ(来月16、23日午後9時放送)として2年ぶりに復活する。このほど都内の同局で会見が行われ、脚本家橋田寿賀子氏(89)と石井ふく子プロデューサー(88)が出席した。小料理屋「おかくら」の主人岡倉大吉を演じた宇津井健さん(享年82)が昨年3月に亡くなったため、大吉が急逝した設定となる。大吉の遺産1億円の相続を巡り、5姉妹が衝突するという物語だ。石井プロデューサーによると、収録現場には、写真など宇津井さんを想起させるものは、あえて飾っていないという。「見た時にセリフをしゃべれなくなると思った。お父さんの話をすると言葉が出なくなるつらい感じがあった」。生前の大吉が登場する回想場面もないという。

 90年のシリーズ開始以来、大吉不在という状況は初めて。橋田さんによると、宇津井さんの死去でシリーズ継続はいったん断念したが、熱心なファンらに背中を押され「親がいなくなってもおしまいじゃない。家族は育っている」と一念発起。子供たちに主眼を置いた新作の執筆を決意したという。「90歳で(脚本を)書いてる人はいませんよね。まだ書きたいことがある」と次回作への意欲も示し、「老人問題、子供の育て方」などがテーマの候補という。