俳優水谷豊(59)と女優伊藤蘭(57)夫妻が、1989年(平元)1月の結婚会見以来のツーショットを披露した。結婚後、初共演する映画「少年H」(降旗康男監督、13年夏公開)の撮影現場が、このほど取材陣に公開。水谷は「ついにこの時が来た」と言い、伊藤は「一生ないだろうと思っていたのでうれしいです」と喜びを口にした。

 2人は、日本テレビ系ドラマ「事件記者チャボ!」以来、28年ぶりに現場で並んだ。久々の共演で夫婦の設定。水谷は「なるべく考えないようにしている自分がいますね。複雑だと思うと複雑、シンプルだと思うととてもシンプル」と照れ笑いし、伊藤は「もっと気持ちがメチャクチャな感じになるのかなと思いましたけど、意外なほど自然な感じでいられるので驚いてます」と客観的に話した。

 1日に茨城県内でクランクインし、共演シーン初日の13日は、伊藤の入りが水谷より遅く、現場で顔を合わせると、互いに「おはようございます」とあいさつしあったという。リハーサルでは、伊藤が水谷に話しかけた後、水谷が降旗監督に歩み寄り、その後、伊藤に伝えるようなやりとりも見られた。現在は自宅でも現場でも一緒だが、自宅では台本の読み合わせをすることも、仕事の話もほとんどしないという。

 伊藤

 (水谷が)どこにでもいるみたいな。そんなに違和感はないです。

 水谷

 どこにでもって(笑い)。再び1つの作品を2人で迎えることがとても良かった。

 水谷いわく、現場で2人の空気感は「照れを過ぎたような感覚」という。伊藤は「結婚と同時に一緒に仕事をすることは出来ないんだなと残念な気持ちがあったので、撮影所に通っている毎日が感慨深いです」と目を細めた。

 【村上幸将】

 ◆少年H

 昭和初めの神戸で、洋服仕立職人の父盛夫(水谷)と母敏子(伊藤)の間に生まれた肇(吉岡竜輝)は、母が編んだセーターの胸に大きく「H」と編み込まれていたため「エッチ」と呼ばれた。好奇心旺盛な肇は、第2次大戦開戦後、不穏な世の中に疑問を持つが、盛夫から現実を見るように教えられ成長する。原作は作家・妹尾河童氏の自伝的小説。97年に講談社から刊行され99、01年にフジテレビでドラマ化。