【カンヌ(フランス)18日=村上幸将】福山雅治(44)が初の国際映画祭となるカンヌ映画祭で“俺流”を貫いた。コンペティション部門に出品された主演映画「そして父になる」(是枝裕和監督)の公式会見に出席した。各国取材陣を前に冗談を飛ばすなど終始落ち着いた表情で、余裕すら感じさせた。俳優、シンガー・ソングライターとしてのプライドをのぞかせる場面もあった。

 カンヌでも福山のままだった。柔和な笑みを浮かべながら、撮影や質問に応じた。「初めて来て、本当に楽しく過ごしてます」。

 16日にフジテレビ系ドラマ「ガリレオ」(月曜午後9時)の収録に参加し、17日夜に現地入りしてから15時間後。会見前にも日本の各テレビ局の取材を5回受けた。疲労もあったはずだが「想像以上にハードスケジュール。日本だと、もっとイライラしてたと思うけれど楽しくできている。日本でも今後、楽しくスケジュールをこなそうと思いました」と笑い飛ばして取材陣を笑わせた。

 共演した子役の黄升■から会見前、「福山さん、いつスターになろうと思ったの?」と聞かれたことも明かし会場を沸かせた。

 家族観や結婚観に踏み込んだ質問にも、率直に答えた。香港の記者から「実際に父じゃないのに、父を演じた。役作りはどうやったか」と聞かれると「おっしゃるとおり、父じゃない。でも是枝さんに『男が父になっていく話。大丈夫』と言われた。撮影しながら成長できたらと思った」。「映画のように子供が取り違えられたら」と聞かれると「とても難しい。今どうするかは即答できない。結論を出していかなければいけないと思うけれど」と飾らず率直に答えた。

 子役に台本を与えないで演じさせた是枝監督の手法についても触れた。「子供たちはある設定の中で我々と遊び、我々も芝居というより子供たちの感性に導かれ、その場で出たものを切り取った。音楽的に言えばライブ」とシンガー・ソングライターらしく音楽に例えて説明した。ただ「もっと芝居する作品でカンヌに来たい?」と聞かれると「ははは、演技してないわけじゃないですよ」と俳優としてのプライドもにじませながら、ジョークで切り返した。カンヌ映画祭を楽しむ余裕を感じさせる会見となった。※■は火ヘンに玄