卓球女子でオリンピック(五輪)に4大会連続で出場した福原愛(29=ANA)が21日、自身のブログで現役引退を発表した。「ここで一区切りつけることを決意しました」と心境をつづった。

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愛ちゃんの「神対応」は報道陣の間では有名な話だ。そんな思いやりのある言動に、救われた経験がある。16年9月8日付日刊スポーツ1面で「福原愛結婚」をスクープした。その報道が出たことで、同21日に結婚報告会見を開くことになった。会見当日、会場のホテルに取材に訪れると、主催者側から「福原愛が怒っている」として入場を禁止された。

これまでお世話になってきた福原選手に直接会って説明したい。機会をうかがっていたところ、10月7日のリオ五輪銀座パレードで対面がかない、謝罪すると「えっ? そんなことがあったんですか…。私は怒っていないので、気にしないでください。事実だし、1面で結婚を扱ってもらえるスポーツ選手はなかなかいないですよね」と、神スマイルが返ってきた。

取材への応対は常に気遣いにあふれていた。遠征先から疲れて帰国しても、「写真、暗くないですか? 明るいところに行きましょうか」。羽田空港に夫の江宏傑を連想させる観葉植物「タイワンモミジ」をみずから発見すると「ここは避けましょうか…」とノリツッコミで冗談を言って、報道陣を和ませた。幼少期から大人に囲まれることが多く、自分に何を求められているかを理解した、大人な対応力の数々だった。

20年東京五輪では混合ダブルスが正式種目となる。個人的に“夫婦ペア”に期待を抱いていただけに残念でならない。だが、記憶に残るプレーとともに、あの笑顔は一生忘れることはないだろう。【リオ五輪卓球担当・鎌田直秀】