ジーコジャパンが、4日後に迫ったW杯アジア最終予選バーレーン戦に向け、短期集中で再生への突貫工事に着手する。日本代表は29日、成田発のチャーター機で事前合宿地のUAE・アブダビへ向け出発した。キリン杯2連敗で浮き彫りとなったDF陣のカウンター対策、攻撃面ではMF中田英らセリエA組が加わることによる連携の確認など、選手は一様に「修正」を口にした。一方ジーコ監督(52)はコメントを一切残さない、異例の出発となった。
搭乗口へ向かうジーコ監督の唇は、固く閉ざされたまま。周囲を囲む報道陣には目もくれず、みけんには深いしわが刻まれていた。いら立ちの表情は隠せない。ひたすらチェックインを急ぐその口からは、最後まで言葉は出なかった。
無理もない。バーレーン戦へのテストと位置づけたキリン杯で2連敗。数字の上ではアウエー2連戦でのW杯出場も可能だが、確たる手応えがない。課題が山積した中での旅立ち。無言を貫くそんな指揮官に代わって、選手が口を開いた。キリン杯で見つけた課題を突貫工事で修正する「やり直し」がテーマだ。
最大の課題は(1)カウンター対策を含めた守備の見直し。DF宮本はペルー戦、UAE戦ともに、守備のバランスを崩しカウンター1発に沈んだことを受け「もう1度、向こうで連携を直したい」と話した。
そのカギを握るのが(2)DF中沢の復帰だ。中沢は21日に腰をねんざしキリン杯を欠場したが「腰は大丈夫。(UAE戦)前日、当日と昨日休んで良くなった。元気な姿を見せたい」と話した。ただバーレーン戦はぶっつけ本番。体調面、さらに試合から遠ざかっているリスクは当然、背負う。
また(3)FW高原の遠征断念も不安材料だ。FW陣は360分間不発が続くだけに、今季ブンデスリーガ7得点と好調だった高原の不在は打撃だ。ペルー戦で左足首をねんざしたFW玉田は「(左足首は)まあまあ。大丈夫」とバーレーン戦出場へ支障がないことを強調したが、FW陣再編も早急に煮詰める必要がある。
さらに(4)海外組と国内組の連係の質を高める必要性もある。中田英や中村らセリエA組の合流からバーレーン戦まで時間はわずか。UAE戦で孤軍奮闘したMF小野は「いい準備をしたい。(セリエA組との)連携はこれからです」と再確認の必要性を強調した。
残されたわずかな時間で見直すべきことが山積している。だが、何と言われようと、負けられない戦いに向けて時計の針は進む。ほとんどの選手が、周囲の雑音を振り払うように、視線を前に向け機内へ乗り込んだ。そして誰より、一言も語らなかったジーコ監督の眼からは、ギラギラとした光が放たれていた。【村上幸将】
[2005/5/30/09:18 紙面から]
写真=UAE到着後、さっそくナイター練習を行ったジーコ監督(撮影・栗山尚久)
|