リオ・パラリンピックのパワーリフティング男子54キロ級代表・西崎哲男(39)が3日、勤務する乃村工芸社の東京トレーニング室開所式に出席した。東京本社ビル(東京都港区)の3階に新設された20平方メートルのスペースで早速、105キロのバーベルを差し上げるデモンストレーションを行い、「応援していただいているので、それに応えられるよう20年東京大会を目指して頑張っていきたい」と笑顔で決意を語った。

 8位入賞を狙ったリオでは、3度の試技ともジャッジにフォームが規定に違反していると判定され、「記録なし」の屈辱を味わった。そのショックからも立ち直り、現在は体幹の強化と新たなフォームの確立を重点に置いて調整を続けている。昨年度までは大阪事業所勤務で拠点を同地に置いていたが、新年度からは本社スポーツぶんか事業開発室に転勤となり、トレーニング室新設で東京でも集中して練習に取り組める環境が整えられた。西崎の影響で創設されたパワーリフティング部も、東阪で一般社員の部員が約30人に膨れあがったという。

 今年2月のドバイW杯では124キロで3位に入ったが、2度の試技が規定違反とジャッジされた。次の目標は9月にメキシコで開催される世界選手権で、この大会から20年東京大会出場をかけたランキング争いもスタートする。「世界選手権で自己ベスト(136キロ)を更新し、3年後には160~165キロを挙げられるようにしたい」。会社と仲間のサポートを受け、西崎が東京へ向けて力を蓄えていく。【小堀泰男】

 ◆西崎哲男(にしざき・てつお)1977年(昭52)4月26日、奈良県天川村生まれ。奈良県立添上高時代はレスリング部。23歳の時に交通事故で脊髄を損傷して両脚が不自由に。車いす陸上の400メートルで06年の世界選手権に出場したが、パラリンピック代表にはなれずに11年に引退。13年9月の20年東京五輪・パラリンピック開催決定を機にパワーリフティング競技で選手に復帰した。14年の全日本選手権で初優勝。同年11月に乃村工芸社入社。自己ベストは国内136キロ、海外128キロ。