【マナウス1日(日本時間2日)=木下淳】リオデジャネイロ五輪日本代表FW浅野拓磨(21)に、新天地アーセナルのアーセン・ベンゲル監督(66)から金言が届いた。WOWOWのサッカー番組でA代表ハリルホジッチ監督と対談し、浅野への評価を獲得決定後、初めて日本メディアに語ったもの。2日後の1次リーグ初戦ナイジェリア戦へ、浅野にとってメダル獲得と期待に応える五輪が始まる。

 決戦の地マナウスに入った浅野は、高温多湿の生ぬるい空気を切り裂いてゴールへ走り続けた。シュート練習で鋭い動きを見せ、ブラジル戦の疲労を感じさせない。上り調子でナイジェリア戦に向かっている。その浅野が世界を驚かせる姿を、既に思い描いている人がいる。プレミアリーグの名将ベンゲル監督。ハリルホジッチ監督と対談した中で、電撃獲得の根拠となった浅野への評価を初めて打ち明けた。

 ベンゲル監督

 長所はボールを受ける質の高さ、つまりマークを外してDFの裏に動ける能力だ。その能力をもっと有効に使えるようになるため、ほかの部分を鍛えなければいけない。

 50メートル5秒9の快足に、ほれ込み、労働許可証の特定取得にも直接関わるともいわれている。期待度が高い分、原石に対する課題の指摘も具体的だった。

 ベンゲル監督

 成長にはモチベーションと知性、良い指導者が必要だけれど、それより大事なのはレベルの高い選手と一緒にプレーすることだ。周りから吸収できるものは、たくさんある。我々は彼を選手として成熟させたい。ゴール前でのフィニッシュ、マークの外し方、体の使い方など、欧州サッカーに必要なスキルをどんどん注入させる。

 他国への期限付き移籍の可能性も伝えられる中、まるで手元に置いて育てることが決まっているかのような口ぶりだ。そして力強い口調で、こう付け加えた。

 ベンゲル監督

 重要なのは、彼の長所を崩さないことだ。サッカー選手は長所を基にキャリアを積んでいく。一緒にプレーする周りの選手はレベルが高い。本人の技術も自然とレベルが上がっていくに違いない。

 先月18日に渡英した浅野は、ロンドンでベンゲル監督と初対面。一夜漬けの英語であいさつし「何やったかな…もう忘れた」と覚えていないが、実際ここまで期待されていた。当地で「自分がどこまでやれるか楽しみ」と話し続けている浅野。名将の期待通りに活躍すれば、メダルも近づく。

 ◆WOWOW放送予定

 ハリルホジッチ監督とベンゲル監督の対談は「UEFA

 EURO

 2016

 ハリルホジッチ

 大会総括リポート

 アーセン・ベンゲル緊急参戦!」と題し、6日午後7時からWOWOWプライムで放送。15日と18日にはWOWOWライブでスペインにシーズン到来を告げる「スーペルコパ2016」を放送する。清武が加入したセビリアがバルセロナに挑む。第1戦は15日午前4時45分、第2戦は18日午前5時45分。