横浜の元日本代表DF中沢佑二(38)が5月8日のホーム甲府戦で100試合連続フルタイム出場の偉業を達成した。フィールドプレーヤーでは今季達成した浦和MF阿部勇樹(34)に続き、これで4人目だ。

 中沢以外の3人は、広島DF水本裕貴(当時29)の137試合(11年22節~15年第2ステージ5節)、広島MF服部広太(当時29)の126試合(04年第1ステージ1節~07年28節)、MF阿部の102試合(13年11節~継続中)。中沢は3人を超える38歳という年齢での達成だけに驚きだ。

 誰よりも早く練習場に来てコンディションを整え、練習に臨む。練習後も30分以上残り、ランニングやフィジカルトレーニング、ヘディング練習など、日によって考えて取り組む。篠田フィジカルコーチは「体自体は他の人と比べて特別に優れているわけではない。(中沢の場合は)無理をしない。体が重かったら『今日はやめとく』とコントロールをしていて、メンタル的な部分も大きい。最低限やることを行っている」と分析する。

 シーズンオフは「ただのマラソンランナーです」と話すが、毎日1時間かけて10キロのランニングを課し、1カ月で200キロは走ったという。完全休養日は1~2日。昨季終了後から1月11日の始動日までほとんど動き続けていた。

 中沢の偉業について同僚のMF中村俊輔(37)がこう話していた。

「いろんな生活のルーティンとか試合に向けてのコンディション、メンタルとか成功の秘訣(ひけつ)みたいなのがあるし、調子が良くないかもというときの立て直し方とか、全てにおいて引き出しがあるから、今回の形になって(結果が)出ただけで、もっと細かいところやすごいことが目に見えないけどいっぱいある。Jリーグのストッパーの中でまだ3本か4本のうちに入るし、全然代表でも出来ると思う。100試合連続って偉業かもしれないけど、それは1つの目に見えた形だけど、もっとすばらしいことがあると思う」。

 中沢のすごさはまだある。昨季に引き続き、今季もここまで警告を受けていない。昨季は初めてフェアプレー賞も獲得した。若い頃は警告も退場もあった。「体が動いていて行動範囲も広かったのでリカバリーも出来たけど今は追いつかない。頭の中で(計算しながら)やっています」。年を重ねることに増していく経験値。そんな先輩をDF栗原は「超人」と表現していた。

 今年2月25日の誕生日に中沢は「誰にもCBで負けたくない。若手と同じメニューをこなして、若手より良いタイムで終えたい」と話していた。負けず嫌いであるからこそ、ベテランになっても向上心の衰えはない。中沢を脅かす若手の突き上げはあるか-。「出るなら90分走り続けるのが、1つ数字にこだわっているところ」。横浜の守備陣のかじ取り役としてどこまで記録を更新していくか楽しみだ。

 ◆青木沙耶香(あおき・さやか)1992年(平4)8月29日、東京都生まれ。上智大を経て15年東京本社に入社。5月からスポーツ部サッカー担当に配属。今季はJ1横浜と大宮を担当。今年は日焼けするまいと意気込んだが、既に顔と手の甲が真っ黒に。恐るべし春の紫外線。