仙台は1-0で鹿島を撃破し、今季ホーム初勝利を挙げた。負傷欠場の六反に代わって先発出場したGK関憲太郎(30)がビッグプレーを連発。MF金久保の先制弾を死守した。リーグ戦では昨年8月12日以来、6戦7カ月ぶりの本拠白星。東日本大震災から丸5年を迎えた翌日の大事な一戦を、大きな勝利で飾った。

 勝利で何か伝えたい-。会場に集まった1万5千人を超える観衆のそれぞれが、さまざまな思いを持って黙とうをして始まった特別な試合。前節の試合で負傷した日本代表GK六反に代わり、約1年ぶりに先発した関が、ホームに歓喜をもたらした。

 関がボールを触るたび、大歓声で会場が沸く。前半を1点リードで折り返した後半は、鹿島の猛攻に遭ったが、178センチの関がユアスタのゴールを守り続けた。どんなボールにも食らいつき、時には飛び出してパンチング。後半8分に浴びた強烈なシュートも、片手1本ではじき飛ばして見せた。

 これには渡辺監督も舌を巻いた。「ケンタロウのビッグセーブがなければ、無失点に抑えることはできなかった」と手放しで称賛。神がかったビッグプレーの連発で完封勝利を呼び込んだ関は「本当はGKの自分が活躍しちゃいけないんですけど…うれしいです」と笑顔を咲かせた。

 7カ月ぶりの本拠地白星。勝利を告げる笛が鳴ると「ケンタロウ」コールも発生。イレブンは関の元へ駆け寄り、抱き合って歓喜の輪を作った。個人的にも仲の良いMF富田主将は「特別うれしかった。彼の活躍あっての勝ちですね」と満面の笑み。六反の代わりを十二分に果たした関は「もう次の試合のことを考えています」と頭の切り替えも早い。関を中心に、90分間、そしてロスタイムに至るまで、抜け目ない戦いを展開した。ここから快進撃を繰り広げる。【成田光季】