新潟が最終節広島戦(11月3日・デンカS)に残留をかける。G大阪に1-3で敗れ、勝ち点30のままだが、残留を争う磐田、甲府、名古屋が敗れたため、年間順位も15位で変動なし。広島に勝てば自力で残留する可能性が高い。レッドカードで退場したFWラファエル・シルバ(24)、MFレオ・シルバ(30)、累積警告のDF舞行龍ジェームズ(28)の3人が広島戦は出場停止だが、総力を挙げてJ1に生き残る。

 諦めムードなどみじんもない。むしろ結束は強まった。

 試合後、スタジアムから引き揚げる新潟の選手バスを、100人を超えるサポーターが応援歌の大合唱で見送った。試合後の会見。片渕浩一郎監督(41)は「もう1試合、集中する。次の試合で勝つ」。磐田、甲府、名古屋の敗戦を知ったのは試合後だった。自力で残留できるチャンスがあることを「ラッキーだと感じた」(片渕監督)。サポーターとともに残留を勝ち取る。広島戦でなすべきことは明確になった。

 負った傷は浅くはない。前半35分に1-1の同点弾を決めたラファエル・シルバが、後半6分にこの試合2枚目の警告で退場した。司令塔のレオ・シルバは、ロスタイムに行った抗議が主審への「侮辱行為」となり一発退場。舞行龍は前半9分の警告が累積3枚目となった。広島戦は主力3人が不在になる。

 ただ、ピンチが逆に闘志を高める。「出られない選手の気持ちを背負って戦う。新潟は必ずJ1にいなくてはならない」。MF小林裕紀主将(28)はチーム全員に結束を促した。レオ・シルバは「チームを信じている。彼らがやってきたことに間違いはない。僕は全力で応援に回る」とすぐに前を向いた。

 シュート数は12本対10本でG大阪を上回った。後半のシュート数は7本と、数的不利の時間帯が長かったにもかかわらず、前半より2本多い。「10人になってからの方がビッグチャンスがあった」。後半にシュート2本を放ったFW鈴木武蔵(22)は言う。最後まで諦めない「新潟らしさ」は染み込んでいる。あとは結果を出すだけ。04年から13年間戦ってきたJ1の座を守り抜くために、すべてをぶつける。【斎藤慎一郎】