J2札幌FW内村圭宏(32)がただ1人、全42試合に出場し、J2優勝&J1昇格に貢献した。活躍の裏にあったのが、家族の存在。里枝夫人が、最愛の夫の奮闘をたたえ、自筆で祝福の手紙を贈った。14年12月に結婚したが、昨年は長女香咲(かえ)ちゃんの出産があったため、今オフに式を挙げる。内村ファミリー3人、最高の16年締めになりそうだ。

 エースFW内村が5年ぶりの昇格へけん引した。最終戦は後半23分から途中出場。11年近藤以来5年ぶり、クラブ史上7人目の全試合出場で、自身2度目の昇格に貢献した。「(昇格は)目標にしていたところだし、こだわってきたので、うれしい。いつも1年もたなかったのが、1年やり続けられたのは大きい。来年はもっと頑張らないと」と前を見据えた。

 昨年10月25日大分戦出場後、恥骨痛が悪化し離脱した。約2週間後の11月10日、第1子香咲ちゃんが生まれた。「娘が生まれたのにサッカーができなくて。とにかく治さなきゃと必死だった」。チームから筋力強化のメニューを指示されたが志願して「休ませて欲しい」と完全休養を申し出た。11月からシーズン終了まで約1カ月、クラブハウスでマッサージと酸素カプセルに入る日々が続いた。「これで治らなかったら終わりかも」。自分を信じ、体を横たえた。

 4月17日山形戦で途中出場から今季1号を挙げ復活すると、6月4日千葉戦まで自身のクラブ記録に並ぶ4戦連発と量産。逆境をはね返す支えは、里枝夫人と香咲ちゃんの笑顔だった。「娘とかみさんの存在がリフレッシュになった。1年でも長くサッカーをしなきゃという気持ちにさせてくれた」。10日に娘の1歳の誕生日を迎えた直後の12日千葉戦で劇的ロスタイム弾、そしてこの日の昇格決定と、最高の1年になった。

 10年の加入時から毎年、足首や腰の痛みなどで途中離脱していた13番は今季、痛めた股関節回りの筋力強化にこだわり、1度も離脱なくゴールまで走りきった。前回昇格した12年はわずか2得点と壁に当たったが、今回は意識が違う。雪辱の舞台へ「今は1人じゃない。おむつ代を稼がないと」と気持ちを高ぶらせた。【永野高輔】