Jリーグの年間表彰式「2016Jリーグアウォーズ」が20日、横浜アリーナで行われ、最優秀選手には川崎FのMF中村憲剛(36)が選ばれた。13年の中村俊輔(横浜)の35歳を上回る史上最年長でのMVP獲得に、感激はひとしおだった。

 各クラブの監督、選手による投票で決まる最優秀選手賞。村井チェアマンから「ダントツの1位でした」と称賛される。あらためて会場に「最優秀選手は川崎フロンターレの中村憲剛選手」とアナウンスされると、中村は手で口を押さえ、大きく「フーッ」と息を吐いた。

 受賞スピーチに立つと、そこでも「フーッ」と大きく息を吐き出し、目を少し潤ませて「みなさん、こんばんは。川崎フロンターレの中村憲剛です。いやぁー、ちょっと緊張しています」。そこで言葉が続かなくなると、会場から「頑張れー!」と声援がとんだ。

 中村はしっかり前を見据え「Jリーグを支えていただいているトップパートナー、スポンサーのみなさん、全国にいるJリーグすべてのサポーターのみなさん、僕らはサッカー選手としていい環境の中で、サッカーに集中することができています。ありがとうございます」と感謝の言葉をつづった。

 そして「今、歴代の受賞者の先輩と同じ賞をいただいた。最初の最優秀選手は、僕が中1の時だったので色あせない。カズさん(三浦知良)がバルーンの中から派手なスーツで飛び出してきましたあのMVPに、ともに戦った選手、監督のみなさんに選ばれ、本当に光栄です」。少年時代に見た華やかな舞台。同じ晴れやかなアウォーズで、自分がMVPに輝くという現実に、どこか夢心地のようだった。

 さらに中村は「プレーしやすいように戦ってくれたチームメートにクラブスタッフ、ケガが一日でも早く治るように努力してくれたメディカルスタッフ、チームを管理してくれた強化部のみなさん、僕の洗濯ものを洗ってくれているおばちゃん、掃除をしてくれているおばちゃん、グラウンドを整備してくれたおじさん、みなさんのおかげです。あらためてありがとうございました」。周囲への気配りを忘れない36歳の「サッカー小僧」は、そう言うと最後に笑みをこぼした。