浦和のフォルカー・フィンケ監督(60)が組織重視のサッカーで、今季無冠に終わったチームの再建に乗り出す。浦和と実質的な2年契約を結んだ同監督は16日、埼玉スタジアムで就任会見。今季まで個人技中心だった浦和のサッカーを11人全員が組織的に動くスタイルに変えると宣言した。また若手を主力に育成し、日本代表クラスの選手がそろっているチームを活性化させる覚悟も示した。

 フィンケ監督は60歳とは思えない躍動感あふれるオーラを放っていた。浦和のピンバッジが着いた「ヒューゴ・ボス」のジャケット姿で壇上に登場し、張りのある声で、大きなジェスチャーを交え、来季の浦和のイメージを熱く語った。

 フィンケ監督

 2~3人に依存するのではなく、全員で戦う。先発は11人のベストを選ぶのではなく、11人で一緒に結果を残せる選手。30歳でも攻撃的に動ければピッチに立たせる。どんなにベストな選手でも連動した良い動きができないなら無意味なのでベンチだ。今季はまとまりを欠き、良い終わり方ではなかったが改善する自信はある。

 浦和は04年からブッフバルト-オジェック-エンゲルスと続いた5年間、個人技を最大限に生かしたサッカーで急成長した。代表クラスをそろえて計6個のタイトルも奪った。しかし08年は6年ぶりの無冠。同監督は「今は新しいことをするチャンスが訪れている。そういうタイミング」と大きな変革期だと力説した。

 若手育成も打ち出した。浦和は毎年のように代表クラスの選手を獲得してきたが、同監督は「今のチームには若い力が必要。若い選手がアクセントになる。若いチームを育成することが、私は重要と考える。私の基本原理は選手が動けるということ」と明言し、若手の成長で強化できるという自信をのぞかせた。

 選手に「動ける」ことを要求する同監督は早速、自ら動いた。16日までに欧州移籍を希望するMF相馬、FW田中達、DF阿部と直接面談し、チーム残留を要請した。会見後には浦和のマフラーを手に埼玉スタジアムで写真撮影も受け付けるサービスぶり。「シーズンの数カ月後には『チームが変わった』と思われるように頑張る」と、フィンケ流の変革を約束していた。【藤中栄二】