<J1:清水1-0新潟>◇第13節◇23日◇東北電ス

 J1清水がアウェーで大きな「勝ち点3」をもぎ取った。後半7分、MF山本真希(21)が自身プロ初の直接FK弾で先制。山本真の今季初ゴールでリードすると、その後も強力な攻撃陣を擁する新潟を相手に、最後まで守備陣が集中力を保ち、1-0で勝利した。清水は、中断期間前のラストマッチを8戦ぶりの完封勝利で締めくくった。

 目が覚めるような一撃だった。後半7分、ペナルティーエリアやや左でFKを獲得すると、山本真はボールを丁寧にセットした。短い助走からコンパクトに右足を振り抜く。放たれたボールは、長身選手5人が並ぶ新潟の壁の上を通過し、小さく内側に曲がりながらネットに突き刺さった。「狙い通りのキックだった。感触が良かったから蹴った瞬間に入ったと思った」。

 秘策が込められたFKだった。セットしたボールと相手GKの間に味方を立たせ、インパクトの瞬間を、相手にGKから見えないようにした。「もし、ボールが遅くても(相手GKの)反応が遅れて決まりやすくなる」。浦上GKコーチと試合前日の非公開練習で必ず行うFK練習の成果が、今季自身初ゴールという結果をもたらした。

 勝敗を大きく左右したファインゴールに長谷川監督は「リスタートから(ゴールが)入るか、入らないかは大きい。あの形で先制して押し切れたのはチームにとっても、すごく大きい」と賛辞を送った。

 若き大砲のゴールを守備陣も最後まで守り抜き、8戦ぶりの完封勝利に結びつけた。最長185センチの日本代表FW矢野ら長身選手をそろえ、平均身長で6・6センチも高い新潟の3トップを相手に、DFラインは必死に体をぶつけて空中戦でも自由を与えなかった。170センチのDF高木は「バランスを崩させるように、わざと後ろに飛んだ」とニヤリ。中断前の最終戦を、攻守ともに策略がはまった鮮やかな完封劇で締めた。【為田聡史】