<J1:磐田2-1名古屋>◇第13節◇24日◇ヤマハ

 J1磐田DF那須大亮(27)が移籍後初ゴールを決め、チームの勝率5割復帰の原動力となった。名古屋戦でリーグでは初めて主将マークを巻いて臨むと、後半38分にこぼれ球を左足ボレーで先制。守備では軸として、ゴール前で体を張り続けた。那須の今季移籍後初ゴールで勢いづいたチームは、途中出場したMF成岡翔(24)が追加点を挙げてホーム4連勝。順位も9位に浮上し、約1カ月間のリーグ中断期間に入った。

 決めた自分も驚いた。0-0で迎えた後半38分、左クロスにMF成岡が頭で競り勝ち、ゴールバーに当たったボールが、DF那須の目の前に落ちてきた。左足ボレーで鋭く合わせ、日本代表GK楢崎の手をかすめながら、右サイドネットに突き刺した。得意のヘッドでなければ、利き足の右でもない。移籍後公式戦16試合目にしての初ゴールに「まさか足だとは思わなかった。しかも左足とは」と、周囲の笑いを誘った。

 守備で集中力を切らさず、今季初ゴールへとつなげた。緻密(ちみつ)なラインコントロールで、FWダビ擁する名古屋の強力2トップに恐れることなく、プレッシャーをかけ続けた。「80分くらいで集中を切らすことが一番よくない。疲れたところで、点を取れて疲れも吹っ飛んだ」。

 「ナストイック」。開幕前の鹿児島キャンプからそう呼ばれるようになった。食事の際、揚げ物のころもをはがし、鶏肉の皮を取る。パエリアのご飯だけ食べ、ピザは禁止。日々、食事管理を徹底した。開幕戦で2-6の惨敗を喫すと、テレビ解説の仕事で試合を見ていた名波浩氏(磐田アドバイザー)に直電。東京V時代の選手に番号を聞き、アドバイスを求めた。ストイックなまでに勝利を追求する姿勢が陰にはあった。

 チームは勝率5割に復帰し、順位は9位に浮上した。開幕2戦で10失点した守備は、3節以降は11戦13失点で平均1・18と安定した。「化ければこのチームはものすごく強くなる。下を向かず、逃げずにやろうと言ってきた」。今年で28歳。リーダーと呼ばれるには、決して遅くない。【栗田成芳】