<J1:仙台0-1神戸>◇17日◇ユアスタ

 神通力が、ついに消えた…。無敵の聖地に神戸を迎え撃った仙台が、0-1で完封負け。昨年4月18日から続けてきた公式戦のホーム連続不敗試合が「28」でストップした。1-5で大敗した前節11日の清水戦から完全に立ち直れず、17位相手に痛い敗戦。今季リーグ戦初の連敗&無得点を喫した。

 本拠で響く敗戦の笛にサポーターは戸惑った。一瞬ブーイングを上げたが、すぐ「ベガルタ仙台!」コールに切り替えて選手を鼓舞。どちらが正しいか分からず、悔しさをかき消すように声を張り上げた。昨年4月18日の無敗ロードの始まりから364日目。川崎Fも、鹿島ものみ込んできた聖地が悲しみに包まれた。

 不調の神戸を崩せなかった。中盤は脅威のない横パスが多く、最終ラインも工夫のないロングボールを蹴り続けて90分が終わった。見せ場のない完封負け。手倉森監督は会見後「言い残したことがあります。いいですか」と切り出した。

 手倉森監督は「皆さんと続けたホーム無敗記録が、こんな凡戦で切れてしまったことを謝らなければいけません。まだまだサポーターの力を貸してください」と語った。

 前節11日のアウェー清水戦に1-5で大敗。手倉森監督は翌12日、全選手を集めて頭を下げた。鹿島を2-1で下し、通用した攻撃を押し出す采配に「強気に攻めさせたオレのミス」。そして「手堅い守備から速攻に転じるスタイルを思いだそう」と徹底させた。

 だが、ショックを引きずっていた。DF渡辺は「(大敗の)影響はない」と強気に言ったが、手倉森監督は「最終ラインが怖がってる。誰もいない前線へのキックなんか、サッカーを放棄してるのと同じ」と断罪。FW中原も「やみくもに蹴られても競り勝てない」と、お手上げだった。

 チャレンジャー精神も欠けていた。開幕5戦を終えて3位。7季ぶりのJ1で初の首位に立ち、鹿島にも勝った。手倉森監督は「負けて当たり前のはずが、いつの間にか『勝たなきゃ』になった」。落とし穴に足が入っていた。

 それでも「負けを成長につなげるのが仙台」とMF千葉は前を向く。スタッフはこの日夜、全員参加の緊急決起集会で立て直しに着手した。星は五分。無敗記録もゼロに戻り、ベガルタが再出発する。【木下淳】